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消える残業代は5.6兆円? 働き方改革で消費低迷も

2018/4/24

残業削減に取り組むオリックス・レンテックの職場風景。部長をモデルに働き方改革を訴えるポスターを掲示、部署ごとの残業削減実績も示して意識改革を訴える

 働き方改革で早く退社できるようになったのに真っすぐ家庭に帰らず、フラフラと街で時間をつぶす「フラリーマン」が話題です。アサヒ飲料の調査では会社員の7割が早く帰れるようになったものの、1割はフラリーマン化しているそうです。

 政府は今月、働き方改革法案を閣議決定しました。法案通りに可決・成立すると、どんな理由があろうとも残業は年720時間が上限になります。これまで事実上、残業が青天井であった働く環境は様変わりします。

 過重労働防止に欠かせない法改正ですが、フラリーマン化以上に働く側を悩ます問題もあります。それは残業代の減少です。日本の賃金制度は戦後長らく生活給を基本としてきました。夫が大黒柱として家族を支えるにはどのくらいの収入が必要かを考慮するものです。日本電気産業労働組合が1946年に労使交渉で勝ち取った電産型賃金制度が原型だといわれます。ただ高度経済成長が終わると経営環境は一変。成果主義が台頭するなど生活給は廃れていきます。

 とはいえ所定内賃金だけでは家計がまかなえない世帯は多く、残業代は今も貴重な収入源です。そんな会社員にとって残業削減は一大事。「結局得するのは残業代を減らせる会社側ではないか……」。こんな不満が残業削減の取り組みにブレーキを掛けています。

 浮いた残業代をどうするか。先進企業は社員も納得できる手を打っています。2013年度に働き方改革を始めたSCSKは節約できた残業代10億円を全額、残業削減の実績に応じて賞与として還元しました。工夫は奏功し、1人当たりの平均月間残業時間は08年度35時間から17年度16時間へと半減しました。

 オリックスは今年6月に国内の主要グループ会社14社で「自分磨き制度」を新設します。浮いた残業代を原資に全社員に福利厚生ポイントを年6万円分支給します。フラリーマン化を防ぎ、早帰りで空いた時間を資格取得や語学学習などに有効活用してもらう狙いです。また、はるやまホールディングスは昨年4月から残業ゼロを実現した社員に「No残業手当」を月1万5千円支給しています。昨年度上半期の実績で1人当たり残業時間が前年同期比で15%減ったといいます。

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