大暴落は忘れた頃に…米中貿易摩擦に用心(平山賢一)東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長

写真はイメージ=123RF
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「相場の大暴落は予測できないが、どのようなときに発生したのかを知ることで、イメージを膨らませることができる」

世界の株式市場の関心が米国と中国の貿易摩擦に向けられ、株価も不安定な動きとなっています。米トランプ政権の通商政策は一段と強硬になり、摩擦は激しくなる一方です。政治は予測不可能ですが、状況によっては市場に悪影響が及びかねません。

特に昨年後半以降、米国株はトランプ政権による大型減税の決定を好感してほぼ一本調子で上昇してきました。それだけに、急落のリスクが気になるところです。今回は過去の急落について、歴史を考えてみたいと思います。

まずは、日本のバブル期における私の体験談から始めましょう。日経平均株価が1989年末に3万9000円近くまで上昇した直後の90年初めのことです。ある資産運用会社の朝のミーティングで、熟練ファンドマネジャーがおもむろにマイクを握って話を始めました。

「株式には小調整、中調整、大調整がある。ひょっとすると今回は大調整に至る大暴落の始まりかもしれない」

下落を的中させた熟練ファンドマネジャー

株式相場は前年までの上昇とは打って変わって下落の渦中にありました。それでもなお多くの人は上昇を信じて疑わず、市場の高揚感は消えていませんでした。その話を聞いた他のファンドマネジャーは、嘲り笑うかのような表情でした。

さらに、熟練ファンドマネジャーは、マイクで話を続けます。

「『半値八掛け二割引き』さえも下回るかもしれない」

「半値八掛け二割引き」とは、相場用語で暴落時に底値となるめどを指し、計算式は「0.5(半値)×0.8(8掛け)×0.8(2割引き)=0.32」です。つまり高値の約3分の1にまで下がれば、相場は下げ止まり、買うタイミングになるという意味です。

熟練ファンドマネジャーはこのくらいの下落は覚悟して相場に臨め、といいたかったのでしょう。駆け出しファンドマネジャーの私は近くにあった電卓をたたいて計算し、ビックリしたのを覚えています。日経平均の下落めどの水準は何と1万2000円だったからです。

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