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dressing

握りだけで勝負するすし店 シャリに合わせ魚に一手間

2018/4/23

酢飯のツブ感にも気を配る佐藤博之さん

コメは、食べた時の酢飯のツブ感を大事にするため粒の大きいものを選定している。「ツブ感」「水分量」「うま味」でおいしさが決まるという。しかしマグロに合う酢飯がほかのタネに合うのだろうか? 「ウチはこのシャリに合わせて魚に仕事をしています。すしはシャリだと思っていますから」とキッパリ。「あとは大きさですね。無意識ですがタネによってシャリの大きさが変わっています」と話す。

その酢飯を取り1回握り、タネを上にしてもう1回、180度返してさらに1回、また180度返して2回握り、最後にぎゅっと2回握って、よし!と納得したようにうなずいてつけ台に置く。美しさにうっとりしつつも頬張ると、ツブをしっかり感じる酢飯がタネとともに喉を通っていく。後に残る香りがスーッと抜けた頃、覚醒したように「おいしい」という言葉が出る。

こんなすごいすしを握る手はどうなっているのだろう?と興味がわき、「見せてください」と言うと、「すごいシワシワなんですよ」とはにかみながら広げてくれた。『鮨とかみ』を退職してから約1年間、フランス、スペイン、米国、デンマーク、台湾、タイ、インドネシア……、各地の料理人である友人たちとコラボレーションし、現地の美食家たちをもうならせていた手だ。

話せば話すほどかっこいい人生という文字が浮かぶ。「運が良いだけです。周りに恵まれ、その方たちのおっしゃることを聞いてきただけですから。本当にありがたいです」と話す。バンドでプロになる夢を追いながら、たまたま時給で決めた飲食のアルバイトから料理界への道が開けた。自分に何ができるだろうか、何が求められているのだろうか、自問自答しながら必死に走ってきた。江戸前ずしを徹底的に学んだ上で、自身の感性に従う。すしの異端児と言えるかもしれない。

白と黒を意味する「はっこく」。店名に自身の名前も「鮨(すし)」も銀座も入れなかったのは、はっこくと聞いただけですし店と認識してもらいたいという気持ちと、みんなで一緒につくり上げていきたいという思いからだ。これからは若手に江戸前ずしを継承し世界へ発信していきたいと言う。

<メニュー>

おまかせ ランチ2万円~ / ディナー3万円~ ※価格はすべて税、サービス料別(サービス料10%)

はっこく
住所:東京都中央区銀座6-7-6 ラペビル3F
電話番号:03-6280-6555
営業時間:11:30~14:00、17:00~23:00
定休日:日曜、祝日
*上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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