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2018/4/23
「ケールとブロッコリーのごまドレッシング」など日替わりの野菜も

名物「突先」の後に、少し多めの量を盛り付けた野菜が出される。「ケールとブロッコリーのごまドレッシング」「新玉ねぎをポン酢で」「固茹(ゆ)でしたいんげんと塩」「ピーマンと塩昆布(コンブ)」など、日替わりの野菜が用意されており、一品料理というより手元に置いて軽くつまんで、なくなると次の野菜が出される。これが箸休めにちょうど良いのである。量といい、味わいといい、握り30貫という量に合わせて計算されているに違いない。

素材の水分を保つのは江戸前ずしならではの仕事だ。佐藤さんの得意とする「車海老(クルマエビ)」はとろけるようでプリッとした歯ごたえも感じる食感。

甘みも楽しめる「車海老」

一番おいしいところで火を止める、そこで生まれる甘みは佐藤さんの感覚がなせる技。きっちり酢が効いた酢飯との相性たるや、思わず顔がほころぶ。

特に美しいのが「鱚(キス)の昆布(こぶ)締め」だ。皮付きのまま細かくかのこに包丁を入れ、しっとりと酢飯に寄り添う。うっすらと透けたキスはコンブのうまみをまとい、ねっとりと極上の風味を醸し出す。

すしのタネとしては珍しい「太刀魚(タチウオ)」だが、佐藤さんの手にかかれば十分に厚い身がほろほろととけ、酢飯と一体となり、まるで焼き魚でご飯を食べている感覚に陥る。焼いておいしいタチウオをどうやったらすしにできるのかを考えた末に低温調理がしっくりきたと言う。このビジュアルと食感は記憶に残るだろう。

春の時期限定の「かすご鯛」

春の時期に産まれるタイの稚魚「かすご鯛(ダイ)」。桜の時期にしか食べられない小さなタイは皮を湯引きして、おぼろの甘みを包ませる。小さい故にタネにするのはすし職人泣かせ。それでも「お客様に喜んでいただきたい」と今おいしいものを提供する。

佐藤さんのすしで欠かせないのが「玉」。カリッとした食感の後に広がる卵の味は深みがあるのに軽い。どうしてもこの玉が食べたくて訪れてしまいそうなほかにはない味わいなのである。

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