――日本での採用方針は。
「どんどん増やしていきます。私は日本市場に、とてもわくわくしているのです。今、日本は変革のさなかにあります。『カイゼン』などの成功を経て、劇的なディスラプション(破壊)を目の前にしています。そして、その変革の波に乗ろうとしている。成長が横ばいになってきて、アジアでは韓国や中国が台頭し、競争に負けそうになっている分野もあります」
日本企業の「変革」支える 採用を拡大
「ベインの仕事は、変革の支援です。私たちがある市場を成長市場だと判断する条件は2つあります。まずは、大企業がどれほどあるか。2つ目は、その企業が意義のある変革を求めているかどうかです。私たちは、日本企業がこの数年間、変化を受け入れようとしていると感じています。日本は非常に大切なマーケットですし、実際にビジネスが拡大しています。ですから、採用はどんどん増やしていきたいです」
「採用を増やす理由は、もう1つあります。それは、日本の人材と採用市場が変化しているからです。20年前なら、外資系企業に入っても『日本で採用されたら、ずっと日本で働き続ける』という考え方が多かったでしょう。今も、部分的にはそうですが。最近は『グローバルのコンサル企業に入って世界を舞台に働く』という意識が強くなっています。その点は私たちと一致しているので、入社後のキャリアとしても日本以外で働くことが増えるでしょうね」
「ベインのコンサルタントは、採用されたのが日本でも米国でも、グローバルな人材です。ですから人事異動で意図的にいろいろな場所で勤務させます。そうすれば、日本人コンサルタントとして日本にいることが多くても、グローバルな思考が培えます。世界で発展したい日本の顧客にとっても、必要な存在になれるでしょう」
多様性への理解、グローバル企業に不可欠
――マセダさんはフィリピンで育ち、ベインの世界トップになったんですね。
「あらゆる多様性を受け入れてきた、それがベインのカルチャーだと感じます。仮に(属性などで)課題が生まれても、解決されてきました。私はアジア人であり、ルーツはフィリピンにありますが、ほとんどのビジネスキャリアは米国で積み、グローバルに仕事をしてきました。仕事には国籍とか肌の色とかは関係ありません。私がトップに就任したのも、ベインが成果主義だからです。私にグローバルな経験や顧客との実績があり、チームを鼓舞してきた経験があるからです」