大分名産のニラ、ちぢみに 家庭の味付け
ごはん家「陶やかん」
メニューにある言葉が何ともうれしい。「あったかいごはんを、ゆっくりとお召し上がり下さい」。カウンター越しにまな板が鳴り、フライパンがジュウっと音を立てる。顔が自然とほころんでくる。
大分名産のニラを使ったちぢみ(730円)の生地はジャガイモをすり下ろしてたっぷり使い、もっちり感満載だ。野菜は県内の有機農園から仕入れて50度のお湯で洗い、シャキシャキ感をキープ。栄養を考えて根菜類の皮はあえて残す。緑のブロッコリー、赤いローストビーフのコントラストが鮮やかなグリル野菜のサラダ(1300円)は特に女性に人気という。
「誰かにもっと家庭の手料理を味わって欲しくて、5年前にオープンしました」と店を切り盛りする百崎典子さん。50歳を迎えてのチャレンジだった。これといった宣伝はしなかった。塩味や甘みは控えめにし、優しい味を心がける。客を笑顔で迎え、丁寧に料理を作る。オーダーを受けてから皮に包んで焼くギョーザ、すじの煮込みに焼きそば……。ビールをあおり、箸を伸ばすたびに心がほぐれていく。嫌なことが少しずつ過去のものとなっていく。
旬を味わってほしいとメニューは定期的に変えている。春キャベツがおいしい3月にはもつ鍋が登場。これから出回るタケノコはタイカレーで。栄養が偏りがちな単身者らが次々と引き寄せられるゆえんである。
(奈良部光則)
〈ごはんや とうやかん〉大分市府内町1の5の8 電話097・536・3639
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