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法施行から2年 女性活躍「見える化」進むも残る課題 企業価値向上へ展望示せ 有識者2人に聞く

2018/4/17 日本経済新聞 朝刊

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの矢島洋子共生社会部長(左)と、青山学院大学大学院の北川哲雄教授

 女性活躍推進法の施行から2年。取り組む企業の裾野は広がったが、リーダー育成など課題は多い。さらに進めるには何が必要か。青山学院大学大学院の北川哲雄教授と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの矢島洋子共生社会部長に聞いた。(本文敬称略)

 ◇   ◇   ◇

 ――女性活躍推進法の効果と課題をどう見ますか。

やじま・ようこ 1989年三和総合研究所(現MURC)入社。主席研究員でもあり、女性活躍推進やワークライフバランス、仕事と介護の両立などの調査研究を手掛ける。中央大学大学院戦略経営研究科客員教授。

 矢島 企業が実績データを公表するようになり、女性活躍の実態を見える化した意義は大きい。この数年は学生に有利な「売り手市場」が続き、採用を意識した取り組み強化もあった。課題は女性管理職を増やすという点にフォーカスしすぎたこと。育児などで時間制約のある女性が、真に活躍できる環境づくりは十分でなかったと思う。

 北川 年限を決めるなど企業が計画的に取り組みを進めるようになった効果は大きい。ダイバーシティ(人材の多様性)に対する認識も浸透した。ただ自社は何を目指し、どう企業価値向上につなげるかまで考え抜いて戦略を立てた企業はどれだけあるか。官の旗振りの下、「やらされ感」での取り組みが依然少なくないと感じる。

 矢島 同感だ。ただ流れに乗って女性管理職を増やそうとしても効果は期待できない。

■公平さカギ、人材ロス防げ

 ――企業間の取り組みには温度差も目立ちます。

 北川 組織変革には抵抗がつきもの。経営者は将来の企業価値向上に必ずつながると宣言し、トップダウンで進めるしかない。優秀な人材をフェアに評価し、少数派である女性を登用するなら、支えて育てる仕組みまでつくること。オープンかつフェアに進めることが重要だ。

 矢島 フェアな評価は女性活躍の推進にとても重要だ。その意味で現状の短時間勤務者への評価の仕方は疑問を感じる。本来はフルタイムと違う形で目標設定をし、時間でなく生産性で評価すべきだ。そうすれば、育児などで時間に制約がある女性が自信を持って働ける。将来管理職を目指したい人も多く出てくるだろう。短時間勤務を経験してもキャリアの見通しが立つことが必要だ。

 北川 育児や介護で時間制約のある人は、ますます増えていく。成果さえ上げれば、働き方を問わず評価する仕組みがないと、企業は競争力を保てない。欧米企業はナチュラルかつ柔軟に多様な人材を活用している。硬直的な人事制度は見直し、時間制約を理由にした人材ロスを防ぐ仕組みを模索すべきだろう。

 矢島 いまだに多くの管理職が持つ「バリバリ働ける男性を部下に持ちたい」との意識を変える必要がある。一時的に時間制約が生じても、経験やスキルのある人には働き続けて成果を出してもらう。それができなければ必要な人材を確保できないと認識する必要がある。

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