地域金融 活性化に欠くリスクを取る発想(安東泰志)ニューホライズンキャピタル会長

その点で、金融庁の姿勢にはやや不満が残る。例えば、金融庁は「金融検査・監督の考え方と進め方」において、地域金融機関を手助けする存在として、政府系の地域経済活性化支援機構(REVIC)や日本人材機構、ゆうちょ銀行を挙げた。しかしながら、企業の事業再生を手掛ける民間のプライベート・エクイティ(PE)ファンドやコンサルティング会社には言及がなかった。政府系だけで仕事をやろうとする姿勢が見え隠れし、それこそが商工中金の不正の温床になったのではないか。

民間のPEファンドにできることは多い

民間のPEファンドを運営する立場でいわせてもらえば、地域金融機関との連携でできることはたくさんある。民間のPEファンドは、銀行融資に弁済順位において劣後する資本性の資金(株式など)を提供する。もちろん、無担保・無保証だ。だからこそ、自ら企業の経営に踏み込んでリスクを取り、改善を行うのが特徴だ。

銀行が株式保有できない状態(それは優越的地位乱用の防止のためにも、銀行経営の健全性確保のためにもある意味当然である)であるなら、銀行が本来の事業性評価を実践することは困難であるといわざるを得ない。金融庁にはこうした視点が欠けているのではないか。

折しも、地域の特性を生かした産業の集積を支援する「地域未来投資促進法」が17年施行された。各種の規制緩和や税制優遇措置のほか、専門家による経営へのアドバイスなど多様なメニューが用意されている。我々にできることは少なくないと自負している。

安東泰志
1981年に三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行、88年より、同行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。2002年フェニックス・キャピタル(現ニューホライズンキャピタル)を創業。三菱自動車など約90社の再生案件を手掛ける。東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。
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