脳みそ夫 コミカル&脱力ネタ「OL聖徳太子」で飛躍
口をすぼめて「こんちわ~す」ととぼけた口調であいさつするのがお約束。2016、17年と2年連続で『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の「新春おもしろ荘」に出演。以降テレビで見る機会が増え、17年は小林稔昌監督の映画『くも漫。』で主演を務めるなど、飛躍を見せた。
演じるキャラクターは、ご覧のOL聖徳太子をはじめ、アラサー武士、ちびっこ石油王などコミカルかつ脱力感が漂うものが多く、「聖徳太子だってOLするっつーの」といった今どきの言い回しも特徴の一つ。
人気を支えているのは主に若い女性。17年、音楽情報番組『ミュージャック』(関西テレビ)に出演した際、MCの高橋みなみが大いにハマったことで「脳みそ夫体操」が生まれ、3月7日にはその楽曲でCDデビューも果たすことになった。
お笑い芸人を目指したきっかけは、高校時代に見た『ボキャブラ天国』(フジテレビ系)。「華やかで、みんな仲良さそうにやっているのがすごくいいなと思って。特に好きだったのは、爆笑問題、ネプチューン、海砂利水魚(現くりぃむしちゅー)。自分もいつかああいう中でやってみたいと思うようになりました」(脳みそ夫、以下同)
高校の文化祭で漫才をやり始め、大学では落語研究会に所属。大学在学中には有名プロダクションからの誘いもあったという。
ところが、そのままお笑いの道には進まず、パチプロ生活に突入。「パチプロが書いた本を読んで面白そうだなって思ったのがきっかけだったんですが、実のところはお笑いでやっていくことに自信がなかった。でも2~3年たった頃、自分は何やってるんだろうとふと我に返って。一度しかない人生なのだからやっぱりやりたいことをやってみようと、改めてお笑いの世界で勝負することにしました」
どうせなら人がやっていないことをやってやろうと思いついたのは、水槽に浮かんだ脳みそと漫才を繰り広げるというピンネタだった。「でも当時は中二病全開。目的は『人からすごいと思われたい』だから、当然自分が思っていたほど広まりませんでした(笑)」
考え方が変わったのは5年ほど前。「昔から大喜利や謎かけが好きだったのもあって、複数の要素を組み合わせてパッと設定が伝わるネタを作ってみようと。顔で人物、首から下で職業を表したときに、一番パンチのある組み合わせがOL聖徳太子でした」
徐々にライブシーンで頭角を現し、14年に爆笑問題がいる「タイタン」に入所。世に出るまで時間はかかったが、今では若手芸人の間でも、ちょっと一目を置かれる存在になっている。
「こんちわ~すで流行語大賞をとりたいですね」。気がつけば頭にこびりついているこのフレーズで今年どこまで飛躍するのか注目したい。
(「日経エンタテインメント!」4月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2018年4月13日付]
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