日経ヘルス

「乳酸発酵漬け」で漬けた野菜や果物は、うまみと酸味が豊か。調味料代わりに使えば、調理時間も短縮できる。減塩料理もおいしく仕上がる。乳酸菌がたっぷりの、乳酸発酵漬けの漬け汁も活用したメニューを、荻野さんに教えてもらった。

乳酸発酵漬けの楽しみ方は様々。生きた乳酸菌ごとそのまま漬物として食べるのはもちろん、アレンジレシピにも、調味料代わりにも使える。「野菜のうまみや酸味がしっかり出ているので、調味料を使わなくても料理がおいしくなる。減塩料理にも向く」と荻野さん。

また、「乳酸菌は運動性がないので漬け汁の中で動き回ることはなく、ビンの底にどんどんたまっていく。使うときは、よくかき混ぜて汁ごと使うのがお薦め」と宮尾教授は話す。

乳酸発酵した野菜のアレンジレシピ

キャベツのスープ

胃腸にやさしい、朝食にもピッタリ

●カロリー133kcal●食物繊維0.8g●塩分2.9g

[材料(2人分)]

キャベツの乳酸発酵漬け

……………………… 1カップ(具材のみ)

乳酸発酵漬けの漬け汁 ………… 150ml

ベーコン ………………………… 60g

水 ………………………………… 150ml

コショウ ………………………… 適量

ディル …………………………… 適量

[作り方]

1 ベーコンは短冊に切る。

2 鍋にコショウとディル以外の材料を入れ、弱火で10~15分煮る。

3 好みでコショウ、刻んだディルを振る。

※電子レンジでもOK。耐熱容器に入れて600Wで約3分加熱。

キノコのピラフ

うまみたっぷり! 鶏肉の下味がポイント

●カロリー442kcal●食物繊維2.0g●塩分3.9g

[材料(2人分)]

キノコの乳酸発酵漬け…… 1カップ(具材のみ)

乳酸発酵漬けの漬け汁…… 1と1/4カップ(250ml)

鶏もも肉 ………………… 1/4枚(80g)

米 ………………………… 1カップ

タマネギ ………………… 1/4個(50g)

バター …………………… 大さじ1

パセリ …………………… 適量

コショウ ………………… 適量

[作り方]

1 鶏もも肉は一口大の角切りにし、乳酸発酵漬けの漬け汁に15分ほど漬けておく。

2 米は洗って15分ほど水(分量外)に浸け、ザルにあける。タマネギは小さめのさいの目切りにする。キノコの乳酸発酵漬けは軽く水を切る。

3 鍋に1と2と 、バターを入れ中火で3分煮る。沸騰したらフタをして、弱火で12分煮る。強火で30秒、水分を飛ばす。火を止めて2~3分蒸す。コショウを振り、パセリを散らす。

干し野菜の卵とじ

包丁いらず、ポリポリ食感も楽しめる

●カロリー148kcal●食物繊維1.4g●塩分1.8g

[材料(2人分)]

干し野菜の乳酸発酵漬け… 1カップ(具材のみ)

乳酸発酵漬けの漬け汁…… 1/2カップ(100ml)

卵 …………………… 2個

ゴマ油 ……………… 大さじ1

ネギ ………………… 適量

[作り方]

1 干し野菜の乳酸発酵漬けは軽く水分を切る。ボウルに卵を割り入れ、干し野菜と乳酸発酵漬けの漬け汁ともによく混ぜる。

2 フライパンにゴマ油を入れて温め、1を流し入れ、弱火の中火で1~2分、好みの固さになるまで焼く。小口切りのネギを散らす。

トマト&パプリカのサラダ

美肌成分たっぷり、紫外線対策にも

●カロリー179kcal●食物繊維2.3g●塩分2.4g

[材料(2人分)]

トマト&パプリカの乳酸発酵漬け

………………………… 1カップ(具材のみ)

クルミ(素焼き) ……………… 30g

オリーブオイル ………………… 大さじ1

コショウ ………………………… 適量

[作り方]

1 器にトマト&パプリカの乳酸発酵漬けを盛り、クルミを散らす。

2 オリーブオイルをたらし、コショウを振る。

ドライフルーツとクリームチーズのデザート

発酵でドライフルーツが上品な甘さに変身

●カロリー151kcal●食物繊維1.2g●塩分2.6g

[材料(2人分)]

ドライフルーツの乳酸発酵漬け

……………………… 1/2カップ(具材のみ)

クリームチーズ ………………… 50g

ハチミツ ………………………… 大さじ2

[作り方]

クリームチーズは食べやすい大きさに切る。器にドライフルーツとともに盛り、ハチミツをかける。

荻野恭子さん
 料理研究家。栄養士。料理教室「サロン・ド・キュイジーヌ」を主宰。ロシアや中国など50カ国以上を訪れて食文化を研究し、料理番組などで多方面で活躍。近著に『乳酸発酵漬けの作りおき』(文化出版局)。「酸味が強くなったら肉や魚と一緒に調理すると味がまろやかになります」。
宮尾茂雄教授
 東京家政大学家政学部・短期大学部栄養学科 食品加工学研究室。中国四川大学客員教授。東京都立食品技術センター副参事研究員などを経て2008年より現職。『漬物の機能と科学』(朝倉書店)など著書多数。「野菜を塩漬けにして発酵しやすい温度は20~25℃。温かくなる春に始めれば失敗しにくい」。

(ライター 松岡真理、レシピ・料理作成 荻野恭子、写真 野口健志、スタイリング 宮田桃子、栄養計算 内山由香=食のスタジオ)

[日経ヘルス 2018年4月号の記事を再構成]