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白河桃子 すごい働き方革命

「頑張れ精神」は日本の毒 ドラッカー流は知的に休む ドラッカースクール ジェレミー・ハンター准教授(上)

2018/4/25

ハンター ピーター・ドラッカーはこう言っています。「自分をマネージできない人間は、他人をマネージできない」。マネジャーがマネージしなくてはならない相手はまず、自分自身なんです。

仮に私がとても怒りっぽい人間で、自分にとって都合の悪いニュースを伝えに来た部下を怒鳴ったりしたら、どうなると思います?

白河 悪いことが起きても、部下は二度と報告しなくなるでしょうね。

ハンター その通り。感情や人間関係の質は、生産性に直に影響します。正確な情報が集まらずに、どうやって正しい意思決定ができるのでしょうか?

白河 上司が怖くてトラブルを報告できない。これは起こりがちなことですが、このような状況を放置するのは、企業にとってもリスクが高い。状況がどんどん悪化して、気がつくと手が付けられなくなってしまいます。

日本でも今、ようやく「リモートワーク」を導入し始める会社が増えてきましたが、ここでも重要なのは、人と人との関係性なんです。導入しようとすると、たいていミドルマネジャーあたりから「見てないとサボる人が出てくるのではないか?」という声が挙がる。上司が部下を信頼できないような職場では、当然、生産性も下がります。

ハンターさんは「現実をありのままに見ることが大事」だという

■関係性を良くするスキル

ハンター 信頼関係などナレッジワーカーの生産性を高める要素は、決してバランスシートには表れませんが、すべてに影響します。

白河 職場の関係性を良くするのも一種のテクニックだとしたら、どうすれば、そのようなテクニックを獲得できるのでしょうか?

ハンター やってもやっても悪い結果しか生まないのだとしたら、それは何かが間違っています。まずは、結果をあるがままに見ましょう。次に本当に欲しい結果は何か、を考える。そのギャップを埋めるために何をしたらいいのかを考え、行動に移すことです。

現実をありのままに見ることは、とても大事です。防御的になると、人は見たいものしか見なくなる。

私はエグゼクティブをトレーニングする仕事もしていますが、受講者にとっての気づきの第一歩は、「自分がいかに決まった反応をしているか?」に気づくことなんです。自分はいつも怒っているなとか、悪い方に考えがちだとか。自分のリアクションのパターンに気づけば、それが相手にどのような影響を与えているのか、に思いをはせることもできます。怒鳴って相手を従わせるのは簡単ですが、それはマネジメントとして最悪の手法です。

2つめに重要なのは、休むこと。日本はあまりに「とにかく頑張れ」社会なので、頑張っても、頑張っても、「まだまだ頑張れ」と言われてしまう。私が思うに、日本人は頑張るのではなく、休むことを覚えた方がいいですね。休息は効果的な行動を起こすための基本であり、神経系と根本的に関係があるのです。

セミナーでもよく話すのですが、人間の神経系には、刺激をマネージできる範囲があります。これを「ゾーン・オブ・レジリエンス」という。心理学ではレジリエンスを「(精神的)回復力」や「復元力」と訳します。

ゾーン・オブ・レジリエンスは自分自身で回復可能な範囲。ところが頑張りすぎると、その枠を超えて過覚醒の状態になります。すると、例えば眠れなくなる。

眠れないと、不安が募ったり、怒りっぽくなったり、視野が狭くなったりします。もちろん、体調に異変も生じる。健康を害してもなお、限界を超えたエリアに留まり続けると、今度は突然、エネルギー不足で走れなくなってしまいます。つまり、過覚醒状態から覚醒していない状態へと急速に落ちていくのです。

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