外国人にあえて夕食付き 城崎温泉、定説覆す集客術データ分析で見えないニーズ発掘

城崎温泉では街をそぞろ歩く外国人観光客の姿が多く見られる
城崎温泉では街をそぞろ歩く外国人観光客の姿が多く見られる

人口減少が加速するなか、日本は国をあげて訪日外国人を呼び込もうとしている。だがターゲットが定まらず、感覚的に満遍なくアプローチしているケースは多い。そうしたなか兵庫県豊岡市にある城崎温泉は欧米豪を中心に、外国人宿泊客数を5年で10倍に伸ばした。緻密なデータ分析をもとに、夕食付きプランは外国人に受けないという定説も覆した。同市の大交流課でインバウンド施策に携わる谷口雄彦課長に集客術を聞いた。(聞き手は「やまとごころ」代表の村山慶輔氏)

欧米豪に照準、外国人客は5年で10倍

インタビューに答える兵庫県豊岡市役所の谷口氏

――訪日外国人は、政府の目指す2020年4000万人に向けて、順調に増えています。けん引役は主にアジアの人たちで、裏を返せば、欧米豪についてはそのポテンシャルに見合った成果を出せていません。城崎温泉ではどうですか。

「17年の外国人延べ宿泊者数でいうと、豊岡市にある城崎温泉の場合は東アジアが約50%、欧米豪が約30%でした。全国平均から考えると、欧米豪の割合は高いと思います。直近の伸び率で見ても、全国的には前年比で大きく伸びている韓国や中国が、城崎温泉では伸びていません。一方、欧米豪は十数%伸びています。偶然ではなく、ターゲット選定の中で狙って対策してきている結果ですが、まだまだ十分な数字だとは思っていません」

──30%ということは、全国平均の2倍近いです。なぜ欧米豪の集客に成功しているのでしょうか。

「最初に、欧米豪をターゲットに選んだ理由から説明したほうがわかりやすいかもしれません。主に欧米で人気のある個人旅行者向けのガイドブック『ロンリープラネット』で紹介されたということもあって、城崎温泉の地域の方々としては、08年ごろには『欧米を狙おう』という声がありました。というのも、城崎温泉の場合、団体のツアー客をどんどん集客できるような大型の宿泊施設もありませんし、買い物を目当てに来るようなところでもなかったからです」

──観光庁の「訪日外国人消費動向調査」を見てもわかるように、欧米豪に比べて、アジアの訪日客は買い物を好む傾向があり、団体客の割合も多いですよね。一方で、欧米豪の方は、文化体験的な「コト消費」を好む傾向にあります。

「はい。やっぱり、観光ってどうしてもプロダクトアウト的なところがありますから。個人客、それも風情のある温泉街を、浴衣姿でげたを鳴らして歩くというローカルな体験を求める欧米の個人客との相性がいいだろうって考えたんですね」