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地方移住、主役は20~40代に 生活の質求め新風 地方移住は新時代へ(2)

2018/4/13

これら世代の移住が増えてきた背景には、情報伝達・収集手段の大きな変化、情報インフラの整備がある。インターネットや交流サイト(SNS)を通じて、先行者の実体験や希望地の生活インフラの現状など、多種多様な情報を入手しやすくなった。「ネットを活用すれば、どこでも仕事ができる。まず住みたいところを選び、それから具体的な生活設計を立てるという若い世代が増えている」と嵩和雄・ふるさと回帰支援センター副事務局長は話す。

政府が地方創生の看板を掲げたのにあわせ、各省も取り組みを始めた。内閣府の「プロフェッショナル人材事業」、総務省の「地域おこし協力隊」などだ。関連事業推進のための予算措置が講じられたこともあって、各自治体の移住・定住促進政策、就業支援も活発になっている。移住や就業に関する情報発信や相談会・フェアの開催、職業、不動産情報の発信、お試し移住制度、就農支援というように内容も多様になってきた。

■鳥取県 移住者の目標、1.7倍を達成

先進的な取り組みの典型例が、「ふるさと鳥取定住機構」が積極的な役割を果たす鳥取県である。同県は、11年度からの4年間で「移住者数2000人」を目標に掲げ、県と市町村、民間団体が連携して移住相談体制を整え、移住者受け入れの整備・充実、県外への情報発信の強化などを推進してきた。それが功を奏し、14年度末までの4年間の移住者は3418人と、目標の1.7倍に達した。

また島根県邑南町は「もし毎年1%の人を地域の呼び込めれば、町の人口減や高齢化は食い止められる」という定住プロジェクトを実践に移し、各地で静かな地殻変動が起きつつある。

その一方で「夢破れて都会へ逆Uターン」する人も少なくない。「地域社会の風習や厳しい自然になじめなかった」「職探しが大変で、思ったほど収入を得られなかった」と理由もまた多様である。こうしたミスマッチが生じる要因としては、事前の準備不足、地方生活への事前理解の不足、仕事観の違いがあげられる。

■体験を通じ、理解を深めてもらう

このため「お試し移住制度」や移住者へのフォローアップに力を入れる自治体も目立つ。実際に生活体験、仕事体験をしてもらいながら、地方生活のメリットとデメリットを十分理解してもらった上で、移住を判断してもらおうという試みである。

曲折はあるとはいえ、「日本社会は、いまだかつてない多様なライフコース、ライフスタイルを許容でき、また、それを支援する移住促進政策が目白押しであることを踏まえれば、人口移動をめぐる構造変化の兆しは、やがて変化のうねりとなる可能性を秘めている」(農林中金総合研究所のリポート「移住促進政策の変遷と課題」)のは確かだ。地方移住のうねりは今後さらに高まっていくことが期待される。

(ライター 栩木誠)

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