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小沢コージのちょっといいクルマ

ボルトとアベベが一体に 日産、夢のエンジンの実力

2018/4/20

2017年の「ロサンゼルスオートショー」で発表されたインフィニティブランドの新型プレミアムSUV「QX50」に世界初の量産型の可変圧縮比エンジン「VCターボ」エンジンが搭載された

電気自動車(EV)に力を入れている印象がある日産から、夢の「エンジン」が登場した。2017年末に北米で発売された「インフィニティQX50」に搭載されている「可変圧縮比エンジン」だ。エンジンパワーと低燃費を両立させる新エンジンを担当したエンジニアを小沢コージ氏が直撃した。

◇  ◇  ◇

■夢の可変圧縮比エンジンとは?

小沢コージ(以下、小沢) まずは根本的なところからお聞きしたいんですが、そもそも「可変圧縮比エンジン」って何なのですか。シロウトにもわかるようにお願いします。

木賀新一(以下、木賀) まずは「圧縮比」とは何かと言いますと……。

小沢 それはダメです。圧縮比という言葉がそもそも分かりにくい。

木賀 なるほど(笑)。言葉で説明するのが非常に難しいのですが、そもそもエンジンとはシリンダー中のガソリン混合気をピストンで圧縮し、爆発させてパワーを取り出すシステムで、圧縮度合いを高めれば高めるほど効率が良くなるんです。それを指すのが圧縮比。例えば10ccの気体を1ccに縮めるエンジンだと圧縮比は「10」になります。

小沢 いわば注射器に入れた空気を、ピストンで押し込めば押し込むほど空気容積が小さくなってより大きなパワーが取り出せる。そういうイメージですね。

木賀 そうです、そうです。ただし、混合気を圧縮しすぎると自然に火が付いてしまう。それをノッキング(異常着火)というのですが、これが起きると、最悪の場合、エンジンが壊れてしまう。

小沢 アスリートも鍛えれば鍛えたぶんパフォーマンスは上がるけど、鍛えすぎると壊れちゃうみたいな感じですね。だから、そんなことが起きないようにエンジンは造られている、と。

日産の木賀新一氏(右)と小沢氏

木賀 エンジンの場合、よりパワーを出そうとして混合気を濃く、つまりガソリンを多く噴射すると、ノッキングが起きやすくなって圧縮比を上げられなくなります。逆に混合気を薄くするとノッキングが起きにくくなって圧縮比を上げられ効率が良くなるけど、パワーは出しにくい。そういう相関関係があって、パワー型エンジンと燃費型エンジンでは本来、最適圧縮比が異なるわけです。

小沢 そこが既存エンジンの限界で、今回は混合気の濃さに合わせて、圧縮比を可変させることができるようになったというわけだ。

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