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花房晴美が弾くドビュッシー没後100年

2018/4/14

 フランスの作曲家クロード・ドビュッシー(1862~1918年)が没後100年を迎えた。フランス音楽の演奏で世界的に定評のあるピアニスト花房晴美さんがドビュッシーの核心を語る。

 まばらな音の色合いが一つ一つ克明に表現され、研ぎ澄まされた美の世界が音の映像となって浮かび上がる。花房さんが弾くドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」だ。「前奏曲集第1巻」第8曲であるこの小品は、ドビュッシーの作品の中でも最もポピュラーなものだ。楽譜は短く、音符も少ない。初心者でも一見弾けそうだ。しかし、ただ音符通りに鍵盤を押さえても音楽にならないのがドビュッシーの難しいところだ。

明確なビジョンを持って曖昧さを表現する

 「音の数を最小限にし、最大の効果を生む曲を作った」と花房さんはドビュッシーについて語り始めた。2017年10月13日に東京文化会館小ホール(東京・台東)で「日本デビュー40周年記念リサイタル」を開いた花房さん。なぜ「日本デビュー」かといえば、桐朋女子高校を卒業後、パリ国立音楽院に留学し、卒業後にそのままフランスで音楽活動を始めたからだ。

 こうした実績を背景に、1980年代にレコーディングしたラヴェル「夜のガスパール/鏡」やドビュッシー「前奏曲第1巻」はフランスで高く評価された。仏ハイファイステレオ誌はクララ・ハスキル、ウラディーミル・ホロヴィッツと並び「花房晴美」の名前が巨匠ピアニスト名鑑の「H」項に刻まれるだろうと評したほどだ。完売の40周年記念リサイタルでは、長年にわたり得意としてきたドビュッシー「前奏曲集第1巻・第2巻(全24曲)」を抜粋で演奏し、後半にはラヴェル「夜のガスパール」を弾いた。

 今やフランス音楽の第一人者と目される大御所ピアニスト。3月2日にはトッパンホール(東京・文京)で催された「ダブルリードの夕べ」と呼ぶコンサートで世界一流の管楽器奏者たちとフランス近現代音楽を共演した。オーボエの世界的名手ハンスイェルク・シェレンベルガー氏やクリストフ・ハルトマン氏らとプーランクやフランセの室内楽曲を奏でた。ドビュッシー没後100年の今年は彼女がドビュッシー作品を弾く機会も増える。2010年から東京文化会館小ホールで続けている「室内楽シリーズ パリ・音楽のアトリエ」。その「第14集」(4月20日)には「チェロソナタ」、「第15集」(11月15日)には妹の花房真美さんとの共演で「小組曲」などピアノ連弾作品を披露する予定だ。

 花房さんにドビュッシー作品をどう解釈し演奏するのか聞くと、「明確なビジョンを持って曖昧さを表現する」との答えが返ってきた。パラドックス(背理)ともいえる方法論だ。「ドビュッシーパラドックス」がどんな演奏芸術に結実するのか。

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