ポテチにたくあん… 全国ヒット当確の「ご当地パン」
意外な食材の組み合わせや独特の形状など、各地方には驚きのアイデアがあふれるご当地パンがある。一見パンとはミスマッチな練り物を使った北海道名物「ちくわパン」や、愛媛発の新定番「塩パン」のように、全国区になり得る「一芸品」が各地にまだ無数に眠っている。注目すべきパンをピックアップした。
岡山の2大ご当地ものが合体
ご当地パンの新潮流として注目なのが、地元の「ド定番品」を足し合わせた「横綱コラボ」。岡山木村屋(岡山県)の「バナシガ」がその先駆事例だ。半世紀以上も岡山で愛されている同社のコッペパン「バナナクリームロール」に、同じく岡山の定番ビスケット「シガーフライ」(梶谷食品)を挟んで食べるという、全く新しい提案。濃厚なバナナクリームが入った軟らかなパンの中から、突如サクッとした歯触りのシガーフライが現れるのは斬新だ。どちらにも慣れ親しんだ中年以上の世代は、思いも寄らぬ組み合わせに驚きつい手に取り、一方で、「なじみの薄い若い世代には商品を知ってもらうきっかけになっている」(岡山木村屋)という。新名物として県外からの観光客にも人気に。「ご当地の老舗コラボ」は新たなヒットの源泉になりそうだ。
滋賀発のたくあん入りコッペ
ちくわパンのように、一見ミスマッチな「和食材」を使ったものも見逃せない。代表が、滋賀で長く愛されている「サラダパン」(つるやパン)だ。
コッペパンに、何とたくあんのマヨネーズあえがたっぷり入ったアイデア商品。山崎製パンが同様の味をランチパックで商品化した他、「各地のパン屋さんでもひそかに広がっている」(『地元パン手帖』の著者で、全国のパンに詳しい甲斐みのり氏)。前出の岡山木村屋では高菜漬けを使ったパンも販売しており、「おにぎり代わり」になる漬物系パンはさらに広がりそうだ。
ポテトチップスが入ったコッペ
意外性では、神奈川・横須賀発祥の「ポテチパン」など、ジャンクフード系食材を使ったパンにも注目。「健康志向が強くても、ご当地パンは昔ながらの味や驚きを体験するものとして『別腹』という人も少なくない」と、全国1万個以上のパンを食べ歩いたパンマニアの片山智香子氏は言う。ただ食べるだけではない、エンタメにもなる商品が、今後さらに人気を集めそうだ。
さらに次の定番? 新世代パン6選
半世紀以上の歴史を持つ伝統的なご当地パンが全国には数多くある。そんななか、次の定番を狙う、新作パンも続々と誕生している。地元ワインを使った貴重な逸品や、まるでスイカに見える「インスタ映え」パン、さらには、冷やし中華をサンドしたものなど、驚きのパンが目白押しだ。今回は、47都道府県のアンテナショップにアンケート調査を実施。そのなかから注目の逸品を厳選した。次ページで紹介する。
マカロンのカラフルさをパンで再現。小ぶりなメロンパンが多数つながっているのが斬新だ。5つの色はそれぞれ味が異なっており、食べ比べるのも楽しい。20個つながったもので税別1400円。百貨店の「沖縄展」などに出店している場合も。
長野県産の「NAGANO WINE」と小麦粉を使ったパン。レーズンなどのフルーツがアクセントになっている。ワインの風味がふんわり感じられるのが新しい。地元パン店の他に、ホテルなどでも提供中。1個税別400円程度(店舗により異なる)。
フライ麺風スナックやゆで卵、豚肉などを冷やし中華のタレとショウガソースで味付けして挟んだサンドイッチ。さっぱりとした味わいが特徴だ。立山の麓に立地するコンビニ「立山サンダーバード」で夏限定で販売。1個税込み290円。
米粉で作ったパン生地に、大福や白味噌、あんこを詰めたパンで、香川の雑煮が再現されている。雑煮を食べているようなモチモチ食感は斬新だ。1個税込み155円で、高松空港や地元の道の駅などで販売。古代米を使ったものもある。
大麦の一種であるはだか麦の収穫量が日本一の愛媛県。その麦を80%以上使ったパンをブランド化し、地元パン店が作っている。小麦や白米の数倍もの水溶性食物繊維を含むのが特徴。1個税別80円で、ネット通販にも対応する。
南仙台の人気パン店のオリジナル商品で、外が緑色のスイカ風デザインが斬新な食パンだ。中身が赤いものはイチゴ味で、黄色のものはレモン味。種はチョコチップで再現している。三角形に切るとスイカそっくりだ。店頭価格は1斤税別500円。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2018年5月号の記事を再構成]
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