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「百年後の人も幸せに」 成澤シェフが探求する料理道 ガストロノミー最前線(1)

2018/4/17

デザート「椿と麹」

料理人の役割が変わってきた。食の技を強みとし、レストランを超えたポジションを社会で獲得しつつある。最前線ではコンセプトと技術の両面から料理の進化が顕著だ。その先駆的存在、成澤由浩シェフの創造の源泉を追った。

この10年で世界のレストラン勢力図は一変した。フランス偏重は過去の話。スペイン、北欧、南米……刻々とトレンド発信源は移っていく。そのきっかけのひとつがレストランランキング「The World`s 50 Best Restaurants(以下、ワールズ50)」である。

ミシュランガイドが、専門の調査員によって判定される国別・都市別の評価制度なのに対し、ワールズ50は世界の食事情に精通した930余名の評議委員の投票で決まる。そこには国境もなければジャンルもない。世界規模での人気投票だからこそ、社会動向や時代の志向を色濃く反映する。

ワールズ50にランクインする日本のレストランは2店。うち、常に上位につけるのが、東京・南青山にあるNARISAWAだ。

■土を食べる、森を食べる

NARISAWAの成澤由浩シェフを理解するにはワールズ50ランクインという実績はもちろん、部門賞「Sustainable Restaurant Award 2013」を獲得している事実を忘れるわけにはいかない。

成澤シェフはかねてより「サステナビリティ(持続可能性)とガストロノミー(美食)の融合」を掲げてきた。「今日、このテーブルに座った人だけでなく百年後、二百年後の人々も幸せにするのが料理人の仕事」がポリシー。料理が自然の恩恵の上に成立する以上、環境を守ること、その重要性を訴えることも自らの役割と考える。

<料理解説>
デザート「椿と麹」。米麹ともち米を発酵させたペーストの上に、柚子風味の椿の花びらのジュレ、クリスピーな椿の葉脈。酒粕のソースを添え、最後に椿の灰(麹の保存に欠かせない)をふりかける。砂糖を使わず、発酵により引き出した米の淡く繊細な甘さに、柚子のほのかな酸味や葉の香ばしさがやさしいハーモニーを奏でる

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