「家康と言えば、それまでは太った『たぬきおやじ』のイメージで語られることも多かったのですが、山岡さんの小説で『戦のない世の中を作ろうと尽力した』新たな家康像が浮かび上がってきました。これだけ考え抜いて行動したからこそ、260年以上も続く幕府をつくり上げることができたんだとわかりました」

「腑に落ちる」まで考え抜いた家康に学ぶ

――経営者としては何が一番、心に残りましたか。

リーダーは複数の視点を持つことが大事だと話す

「やはり、『腑(ふ)に落ちる』というところですね。自分が考える時も、部下と話をする時も、いちいち腑に落ちたかどうかを、彼は確認するんです。腑に落ちないことは、決してやらない。あれを読んでから、私も腑に落ちるまで考え、人に何かを頼む際には、相手がその背景も含めて十分に理解できるよう説明しなくては、と思うようになりました」

「部下が背景を理解しないままだと、意図したことと違う結果が出てしまう。背景を共有できていれば、それほど大きく方向性を間違えることはありません」

――人材育成のためにはどんな取り組みをしていますか。

「周囲が驚くような人事をすることです。スタッフ部門の管理職をあえて生産や営業などの責任者として現場に配置したり、その逆をしたり。スタッフが現場へ行くと、現場のことをいかに知らなかったかを実感できて、いい経験になります」

「心がけているのは、できる人にやらせないこと。子会社のポストには、できるかできないかわからないけれど、将来が有望な人をあてた方がいい。実は社長に就任してすぐ、商品別だった事業部を機能別に再編しました。社内がタコツボ化している、と感じたからです」

「これからのリーダーは多様な経験を積み、複数の視点を持つことが大事。実は、経営者になってやろうと意識したことはないんです。プロジェクトリーダーを任されながら、ヤマハという会社がやるべきだと思うことをやりたいと思い、それを突き詰めていった先に経営者という役割があった。だから、何か一つのきっかけでこうなったというわけではなく、すべての積み重ねで今がある。なにごとも昨日より今日、今日より明日の方が少しでも良くなるようにと思いながら、日々のことに取り組んでいます」

中田卓也
1981年慶大法卒、日本楽器製造(現ヤマハ)入社。2010年、ヤマハコーポレーションオブアメリカ(YCA)社長。13年からヤマハ社長。

(ライター 曲沼美恵)

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