この一投、勝率は何% AIがカーリング「軍師」に

2018/4/20

スポーツイノベーション

人間が経験的に判断するショットの優劣を、AIは数値で明確に示せる(写真はイメージ)
人間が経験的に判断するショットの優劣を、AIは数値で明確に示せる(写真はイメージ)

人工知能(AI)をスポーツの戦略分析に生かす試みが出始めている。「氷上のチェス」に例えられるカーリングでは、次に投じるショットの選択の判断に応用する研究が進む。ラグビーでは試合の映像からパスやランなどのプレー場面を自動で仕分ける作業を任せられるようになってきた。急速に進展するAIをうまく使い、選手の技能を磨き勝率を高める道が開けそうだ。

韓国・平昌で開かれた18年冬季五輪のカーリング女子の3位決定戦、日本のLS北見が英国チームを破り銅メダルを獲得した。多くの石が入り乱れている場面で日本の2個の石を一気にはじき出し、逆転を狙った英国が「最終ショットをミスした」とする見方がある。しかし、カーリングの戦略立案を支援するAI「じりつくん」を開発した北海道大学の山本雅人教授は「相手を厳しい状況に追い込み、日本が取るべくして取った銅メダル」と解説する。

カーリングはハウスと呼ぶ円の中心に近い石の数を増やすゲームで、交互に投じる石を狙った場所に正確に止める技術や、石をぶつけて動かし変わる局面に応じて立てる作戦が醍醐味だ。試合状況が煩雑になるほど、どんなショットが有利なのか、相手を窮地に追い込む作戦は何か、判断はなかなか難しい。

AIを使う最大の特色は、人間が経験的に判断するショットの優劣を数値で明確に示す機能だ。この試合、英国の最終ショットの勝率をAIで分析すると、26%と出た。決して簡単ではなかったといえる。

このAIの基本的な原理は、囲碁で人間の名人を倒した手法とほぼ同じで、生物の学習機能をまねた「深層学習」を使う。電気通信大学の伊藤毅志助教が開発したカーリングを模擬実験するコンピューターゲームを使い、石の配置が異なる100万通りの得点パターンを学んだ。

カーリングの石は囲碁のように置く場所が決まっていない。このためハウス周辺の氷上を、縦横約10センチメートルの小さなマス目で3000カ所に区分けし、石が到達した場所に応じて勝率を計算できるようにした。