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「家なき子」の相続節税厳しく 負担、数千万円増も 4月の税制改正で

2018/4/14

小規模宅地等の特例は、故人が経営していた賃貸アパートや、駐車場の土地を親族が相続するときも使える。自宅の土地との併用には制限があるが、土地評価は200平方メートルまで5割減で節税効果は大きい。15年分の相続税申告では2万3819件の適用があった。

■駐車場事業にも網

これら「貸付事業用」の土地で特例を使う場合も、4月から適用条件が厳しくなった(表B)。亡くなる直前に節税目的で駐車場などを買い、相続発生後に特例を使って申告し、すぐに売却するような節税対策はできなくなった。その土地で「相続まで3年超にわたって貸付事業をしていた」という条件が加わったからだ。

もっとも、亡くなった人が別の土地で3年超にわたり「事業的規模」で貸付事業をしていた場合はこの条件は付かず、これまで通り特例を使える。節税目的ではなく、たまたまその時期に買った土地とみなすわけだ。

事業的規模については今後、通達で定められる見通しだが、アパートの家賃収入など不動産所得は所得税法に「5棟10室」の基準がある。相続税もこれにならうとすれば一戸建てで5棟以上、賃貸アパートなら10室以上という基準になるはずだ。

ただし、特例に詳しい高橋安志税理士は「かつて相続税にも5棟10室の通達があったが、当時は共有建物の持ち分をどう扱うかなど細部で所得税と基準が異なっていた」と指摘する。事業的規模として所得税を納めていても、相続税の扱いが同じかどうか改めて確認しておきたい。

遺言信託という商品で約3万3000件の遺言を預かる三菱UFJ信託銀行は、税制改正に伴い特例が適用できなくなるケースが一部あるとみる。このため同商品のすべての顧客に順次周知していくという。家なき子で特例を使うつもりで遺言を書いている場合などは、書き換えの必要が出てくるかもしれない。

(表悟志)

[日本経済新聞朝刊2018年4月7日付]

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