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白井選手の高速ひねりも正確判定 体操に「IT審判」 富士通と日本体操協会が共同開発

2018/4/17

3Dレーザーセンサーが最高難度のひねり技も正確に見定める

現在、体操競技の採点は技の難易度を評価する「Dスコア(演技評価点)」と、技の出来栄えを評価する「Eスコア(実施点)」の合計点から成る。体操の採点規則をまとめた教本には、技の成立条件や減点要素などがこと細かく書かれている。

例えば、Eスコアの減点要素である技術欠点には「正しい静止姿勢からの角度の逸脱」という項目がある。そこでは角度のずれに応じて、減点が「15度までは0.1、16~30度は0.3、31~45度は0.5」などと定められている。

16年リオデジャネイロ五輪の男子個人総合では、内村航平選手がウクライナの選手を最後の鉄棒で逆転して五輪2連覇を成し遂げた。このときの得点差はわずか0.099点。つまり、極端な話、上記の「角度の逸脱」において、角度のわずかな違いがメダルの色を左右する可能性があった。審判にかかるプレッシャーが大きいことは容易に想像できる。

こうした課題を解決するのが、富士通研究所がもともと自動車向けに開発を進めていた3Dレーザーセンサーと、リハビリ向けに開発していた骨格認識ソフトを融合させた技術だ。選手に向かって1秒間に230万点という細かいパルス状のレーザー光を発射し、反射光を検出して対象までの距離を算出。そこから骨格の位置を推定し、手足の位置や関節の曲がり具合などを導き出したうえで、体操競技の動きをデータベース化した「技の辞書」と照合して採点する。

■曖昧さを排し採点をデジタル化

これまでスポーツ選手の動作分析には、「モーションキャプチャー」が主に使われてきた。これは赤外光を反射する球体(マーカー)を肩、肘、膝などに装着し、赤外線カメラで選手の動きを捉える技術である。これに対して、3Dレーザーセンサーはマーカーの装着が不要になるため、選手の演技の邪魔にならないほか、実際の試合でも使える利点がある。システム価格も大幅に安価にできるという。

ただし、これまで誰も手掛けたことがない体操競技の「採点のデジタル化」は、FIGにとっても富士通にとっても大きな挑戦であり、地道で骨の折れる作業だ。

採点支援システムの審判用画面。「正面支持」の姿勢においてあん馬に対する体の角度を自動的に算出する(写真提供:富士通)

例えば、あん馬で体の正面で馬体を支持する「正面支持」。教本には「正面支持の姿勢で、体があん馬に対して15度以内に収まっていること」と書いてあるが、その場合の「体」とはどこか。頭のてっぺんから足の先までなのか、首から腰にかけてのラインなのか。これらは明確には書かれていない。

このようにアナログ的な曖昧さが残るものを「0」「1」のデジタルの世界に落とし込むには、「骨格Aと骨格Bの角度を15度以内」というように、いちいち厳格に規定しなくてはならない。

体操のルールはFIGで上級審判を束ねているテクニカルコミッティーという委員会が決定する。富士通は3Dレーザーセンサーが検出する18の関節に番号を付け、例えば「この技は1番と3番のラインの角度を見る」などと規定する作業を、テクニカルコミッティーに確認しながら進めている。まさにFIGと共同で「新たな基準作り」に取り組んでいるのだ。

体操教本には男子で807の技が書かれており、それを分解すると346の基本動作の組み合わせになるという。作業の効率化の観点から、この346の技の辞書化を進めている。

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