危機対応は日々の集大成 東日本大震災で得た気づき
アフラック取締役常務執行役員 木島葉子氏
木島葉子・アフラック取締役常務執行役員
管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。8人の女性管理職が交代で執筆します。今回は、アフラック取締役常務執行役員の木島葉子氏です。
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「どうして今のポジションにつけたと思いますか?」。こう聞かれると、いつも私は「リーダーとしていくつかの危機を経験したからではないでしょうか」と答えます。
私は「陣頭指揮をとる」という経験を何度か得ました。また、私が直面したいくつかの危機は、失敗は絶対に許されない事案でした。そこでは、危機という特異な状況だからこそ得られる新しい気づきがありました。
私の持論は「危機対応は日常の集大成」です。いざというとき、人は普段では出せないような力を発揮できることがあります。しかし、それは日々の仕事に真摯に向き合っていることが前提だと考えています。
2011年3月の東日本大震災は、まさにそれを試されたときでした。
当時の私は保険の契約管理全般をまとめる部署の部長でした。日々の業務を一日も早く平時の状況に戻すとともに、被災地のお客様にお見舞いと契約継続のための特例対応のご案内をお送りすること、加えて深刻な被害にあわれた地域のお客様の安否を確認することが求められました。
当時、被災地の当社のお客様は約120万人。規模の大きさと未経験の対応を求められ、責任の重さに押しつぶされそうになりました。
これまでもお客様への文書送付の業務は経験していました。一刻も早くお送りできるように経営層に急いで企画をあげました。しかし、社長からは何度もやり直しを命じられました。同業他社や監督官庁の動向なども見ず、自分の経験だけをもとにつくった企画書ですから、承認してもらえるはずがありません。