――米国で今、5~6秒の短尺CMの取り組みが進み始めた背景は?

動画広告のデジタルシフトが加速的に進んでいる米国では、調査会社のeMarketerの予測で、17年にテレビとデジタルの動画広告出稿費がそれぞれ約8兆円と、ほぼ並ぶ見込みです。下のグラフは、米国の全広告宣伝費を全人口のメディア接触時間で割ったもので、1人当たり1時間で各メディアがいくら稼げるかという指標になります。これを見ると、テレビは1時間当たりの稼げる力が3%しか上がっていませんが、デジタルは8%、デジタルビデオは18%も上昇しています。これは単純にデジタルの接触時間が伸びているということではなく、広告効率も向上しているからこその結果。テレビ局からすれば、これから視聴時間を大幅に延ばすのはさすがに難しいので、広告効率を上げなければ生き残れないという危機感があります。

出典)eMarketer調べ。TVISION INSIGHTSの資料から編集部が作成

短尺CMでも広告効果は変わらない?

米国は現状、テレビ番組1時間当たり約13分がCMの時間。年々、視聴率が下がっているので、じわじわと広告枠を増やしてきた経緯があります。しかし、これ以上長いCM時間は視聴率をさらに下げかねません。そんななか、米国ではYouTubeが6秒CMの展開を本格化しました。これが従来の30秒や15秒CMとそん色ない広告効果を持つなら、視聴者のためにCM時間を減らしても、広告本数は多くできる。テレビ局にとっては広告主や視聴者の利害を毀損することなく売り上げアップを狙えることになります。そんな目論見で、短尺テレビCMが脚光を浴びているのです。

――具体的には、どんなテスト事例が出てきましたか。

2017年、FOXが「Teen Choice」という番組で初めて6秒CMを試してから、ディスカバリーチャンネルが同年末から5秒CM枠の検討を始めるなど、各局が取り組んでいます。実は、この短尺CMの効果測定は従来の調査方法では行えず、テレビのアテンションデータを秒単位で取得できる当社しか担えません。実際に米国の各局から依頼を受けて当社はデータを提供しています。

果たして、従来の15秒、30秒CMに比べ、6秒CMの広告効果はそん色ないものなのか。当社が測定した先行事例としてはディスカバリーチャンネルの「SHARK WEEK」の宣伝効果検証があります。これは番組宣伝のCMを見た人が、その後実際に番組を見たかどうかの検証。テレビの前にいただけの人や、1秒だけCMをチラ見した人のうち、その後番組を見た人は約9%にとどまったのに対し、3秒見た人では約15%に跳ね上がりました。実はこれ、CMを注視した時間が5秒以上になっても、その後番組を見る率はさほど変わりません。つまり、この番組の宣伝という文脈では、CMは5秒前後で十分という結果です。

こうした事例を基にテレビCMの短尺化が進めば、1秒当たりの単価が上がって、かつ広告枠自体を減らすことができるので、テレビの媒体価値は上がるはずです。テレビ局にとってはうまみがある話なので、今後この流れは確実に強まる見込みです。

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