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米国発! テレビCMは「6秒」が新標準になる?

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日経トレンディネット

ネットの動画広告の世界では、2016年からYouTube(ユーチューブ)が「6秒以下のスキップできない動画広告」(バンパー広告)に力を入れはじめ、超短尺化の流れが生まれている。背景には、スマートフォンなどモバイル端末での動画視聴が主流になり、これまでの30秒や15秒といった長尺CMを煩わしく感じるユーザーが増えたことがある。実は今、米国ではネット発のCM短尺化の方向性が、テレビCMにも波及し始めている。

17年からFOXやAMC、ディスカバリーチャンネルなどの有力プレーヤーがこぞって5~6秒CMのテストを始めており、早ければ18年春、プライムタイムの編成と広告の販売交渉を行う「アップフロント」(18年~19年シーズン)で、短尺の広告枠が売り出される可能性があるという。

そんな激変する米国のテレビCM事情を影で支える存在が、日米で事業を展開するスタートアップ、TVISION INSIGHTS(以下TVISION)だ。15年3月創業の同社は、従来のテレビ視聴率ではなく「視聴質」を計測しているユニークな企業。米国で2500世帯、日本で800世帯いるモニターの協力の下、テレビ上部につけたモーションセンサーカメラを使って、テレビの前にいる複数の視聴者の目や表情をリアルタイムで計測し、「テレビの前に誰がいるか」「誰の顔がテレビに向いているか」を独自のアルゴリズムで分析している。

前者の「テレビの前に誰がいるか」というデータはVI(ビューアビリティ・インデックス)値として、後者の「誰の顔がテレビに向いているか」というデータはAI(アテンション・インデックス)値という。主にVI値は提供番組やスポットの選定など、ターゲット属性の視聴質が高い枠を特定するもので、広告プランニングに使われる。もう一方のAI値(注視度)は、自社や競合のCM作りを分析してクリエーティブを改善したり、起用タレントの選定に利用したりするものだ。

テレビはこれまで、オンオフのみを計測する視聴率やGRP(累積視聴率)といったオフライン広告でいうインプレッションベースでのデータしか存在しなかった。ここにVI値、AI値という新指標を取り入れ、オンライン並みのデータ分析を可能にするのがTVISIONだ。米国法人を率いる劉延豊(Yan Liu)氏に米国テレビ業界で巻き起こるデータ革命の今を聞いた。

――米国で今、5~6秒の短尺CMの取り組みが進み始めた背景は?

動画広告のデジタルシフトが加速的に進んでいる米国では、調査会社のeMarketerの予測で、17年にテレビとデジタルの動画広告出稿費がそれぞれ約8兆円と、ほぼ並ぶ見込みです。下のグラフは、米国の全広告宣伝費を全人口のメディア接触時間で割ったもので、1人当たり1時間で各メディアがいくら稼げるかという指標になります。これを見ると、テレビは1時間当たりの稼げる力が3%しか上がっていませんが、デジタルは8%、デジタルビデオは18%も上昇しています。これは単純にデジタルの接触時間が伸びているということではなく、広告効率も向上しているからこその結果。テレビ局からすれば、これから視聴時間を大幅に延ばすのはさすがに難しいので、広告効率を上げなければ生き残れないという危機感があります。

短尺CMでも広告効果は変わらない?

米国は現状、テレビ番組1時間当たり約13分がCMの時間。年々、視聴率が下がっているので、じわじわと広告枠を増やしてきた経緯があります。しかし、これ以上長いCM時間は視聴率をさらに下げかねません。そんななか、米国ではYouTubeが6秒CMの展開を本格化しました。これが従来の30秒や15秒CMとそん色ない広告効果を持つなら、視聴者のためにCM時間を減らしても、広告本数は多くできる。テレビ局にとっては広告主や視聴者の利害を毀損することなく売り上げアップを狙えることになります。そんな目論見で、短尺テレビCMが脚光を浴びているのです。

――具体的には、どんなテスト事例が出てきましたか。

2017年、FOXが「Teen Choice」という番組で初めて6秒CMを試してから、ディスカバリーチャンネルが同年末から5秒CM枠の検討を始めるなど、各局が取り組んでいます。実は、この短尺CMの効果測定は従来の調査方法では行えず、テレビのアテンションデータを秒単位で取得できる当社しか担えません。実際に米国の各局から依頼を受けて当社はデータを提供しています。

果たして、従来の15秒、30秒CMに比べ、6秒CMの広告効果はそん色ないものなのか。当社が測定した先行事例としてはディスカバリーチャンネルの「SHARK WEEK」の宣伝効果検証があります。これは番組宣伝のCMを見た人が、その後実際に番組を見たかどうかの検証。テレビの前にいただけの人や、1秒だけCMをチラ見した人のうち、その後番組を見た人は約9%にとどまったのに対し、3秒見た人では約15%に跳ね上がりました。実はこれ、CMを注視した時間が5秒以上になっても、その後番組を見る率はさほど変わりません。つまり、この番組の宣伝という文脈では、CMは5秒前後で十分という結果です。

こうした事例を基にテレビCMの短尺化が進めば、1秒当たりの単価が上がって、かつ広告枠自体を減らすことができるので、テレビの媒体価値は上がるはずです。テレビ局にとってはうまみがある話なので、今後この流れは確実に強まる見込みです。

――6秒CMを作るには、新しいノウハウが必要になりそうです。

当然、テレビCMの作りは変わってきます。たった6秒で視聴者をつかむ必要があるわけなので、どういうストーリー展開にするかも再考する必要があります。テレビの場合は、デジタルの動画広告と違って音がキーになる。オンライン動画の多くはミュートの状態で見られていますが、テレビはほぼ確実に音声も流れていますから。例えば、どのタイミングで効果的な音を出して、全体の音の起伏をどうつくるかで、視聴者のアテンションの獲得率や、訴求商品・サービスが想起される率、好感度などにかなり影響します。

このような効果測定は、これまでネットアンケートやグループインタビューなどで「このCMを覚えていますか」といった質問をして、視聴者の意見を集めることでしかわかりませんでした。しかし、この方法ではいいかげんな回答を防ぐことは難しく、タイムラグもある。その点、当社はテレビの前にいる複数の視聴者をリアルタイムで計測し、お茶の間でリラックスした状態の本当の視聴行動を調べられる。テレビCMによっては、視聴1回目のアテンション獲得率がよくても、2回目、3回目になるとガクンと効果が薄れるものも存在します。当社なら、その「CMの賞味期限」まで把握できるので、クリエーティブのあり方や、広告展開の軌道修正が可能です。

信用情報との連携でターゲティングが深化

――TVISIONの視聴質データの活用事例として、米国では他にどのような取り組みが進んでいますか。

米国のクレジットスコア大手、Experianと当社のデータ連携で、広告主がテレビCMでより精緻なターゲティングができるようにする取り組みも進んでいます。Experianはクレジットスコアをつけるために、年収やクレジットカードの保有枚数、毎月の借入額、保有しているクルマなど、あらゆる個人情報を握っている会社。これらのデータと、当社の視聴質データを個人が特定できない形で結びつけるスキームをつくっています。

これを使うと、例えばアメリカンエクスプレスのカード所有者が見ている番組や、そのなかでも年収やカードの残高が高い人が見ている番組が特定できる。アメックスのカード所有者の切り替えを狙う他のカード会社にとっては、非常に有効なデータです。自社のカード所有者が多く見ている番組も特定できるので、それを除いて広告を打てば効率も上がります。実際に米クレジットカード大手のキャピタル・ワンと当社の取り組みでは、ターゲット視聴者のアテンションGRPが明らかに伸び、カードのスイッチング率も増えました。

他にも、例えばトヨタ自動車がテレビCMを打つときに、ホンダユーザーを狙い撃ちして、さらに最近子供が生まれた家庭に限定して訴求するといったことも可能。購買データとつなげれば、この番組を見てこういう人がこれを買ったなどと消費行動をトラッキングできるようになります。現状、日本ではExperianのようなサービスはありませんが、このような環境整備ができるとテレビCMもオンライン広告の世界により近づけられるはずです。

――TVISIONのデータの取り方は、今後どう進化していきますか。

現状はモーションセンサーカメラとしてマイクロソフトの「Kinect」を使っていますが、生産終了になるため、今年中にはシステムを変える予定です。通常のウェブカメラでも同等以上の識別性能を出せるようにします。また、これまでの視聴者がテレビの前にいるかどうか、実際にテレビを見ているかどうかというデータに加え、テレビを見ながら缶コーヒーを持っている、スマートフォンを使っているなど、視聴状態をより細かく分析できるように進化させます。これにより、例えばコカ・コーラを飲んでいる人はこんな番組を見ているであったり、スマホを使ってながら見している人に効果的にアプローチする方法もつくれるかもしれない。米国は4月から、日本でも今年の後半から実験的に導入していく計画です。

(日経クロストレンド 勝俣哲生)

[日経トレンディネット 2018年3月26日付の記事を再構成]

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