2018/4/15

問い続ける人の思考法

手塚 アジアには似たような業態があるかもしれませんが、女性の接客に重きを置いた形というのは日本だけではないでしょうか。日本では結婚した女性を「奥様」と呼ぶように、女性は家の奥にいるべきだという偏った考え方がずっとありました。ホストクラブは奥様が本来の自分を取り戻せる場所ともいえます。ところが、実際にホストクラブで行われているのは、ホストがいかに売り上げを伸ばすか、つまり女性客にお金を使わせるか。つまり、日本人女性の中に残る「男を立てる」という意識を悪用することで、ビジネスが成り立っている面は否定できません。

歌舞伎町はナイトエコノミーに向かない?

予防医学者の石川善樹氏

石川 なるほど。逆に、男性がひざまずいて女性を立てるのもホストクラブですよね。女性と男性のジェンダーギャップについて、ホストクラブを題材に研究したら面白いかもしれません。話を元に戻して、新宿という町はどう変わりましたか。最近は外国人観光客が増えて、日本でも夜の消費活動をもっと充実させる「ナイトエコノミー」がもてはやされています。歌舞伎町は相性がいいように思いますが。

手塚 現時点では、僕は外国人を受け入れることを楽観的に考えてはいません。歌舞伎町はゴールデン街に代表されるように、小さな店がごった煮のように詰まっている、わい雑さが最大の魅力だと思っています。それぞれの店が独自の世界観を持ち、そこにコアなファンが付いている。逆に、雨が降ろうが、やりが降ろうが必ず来てくれる客をつかまえていないと商売できません。外国人のように、来るか来ないかわからない客を頼りにはできないのです。

石川 歌舞伎町にある「ロボットレストラン」は外国人客で大はやりです。

手塚 あそこまではじけていれば、それはそれで最高だと僕は思います。では、ロボットレストランのような店をたくさん作ればいいか。それはノーですよね。本来の歌舞伎町の魅力がなくなってしまいます。考えてみれば、日本の都市は明治以降、外国に追い付き追い越せで発展してきました。青山通りはシャンゼリゼ通りのまねだし、銀座はニューヨークのお店をかき集めてきた。でも歌舞伎町は勝手に、独自に進化してきた、世界のどこにもない町なのです。

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