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通路に設置した平台に前著と並べて平積み展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

通路に設置した平台に前著と並べて平積み展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。2週間ぶりに定点観測に戻ろう。今回は、紀伊国屋書店大手町ビル店だ。新年度の始まりのせいか、実務書や法律書の勢いがいい。新入社員の心構えやビジネススキルを説いたロングセラーも企業からのまとめ買いが相次ぎベストセラー上位に顔を出している。そんな中、大きく売り上げを伸ばしていたのは、マサチューセッツ工科大(MIT)メディアラボ所長が未来を見抜く3つの視点を提示した新書だった。

テクノロジーの本質から考察

その本は伊藤穣一、アンドレー・ウール『教養としてのテクノロジー』(NHK出版新書)。伊藤氏は日本のインターネット創生期から活動するベンチャーキャピタリストで、2011年、MITメディアラボの所長に就任した。ネット業界では、その言動や活動がつねに注目を浴びてきた人物だ。2017年夏に人工知能(AI)時代の行動原理を説いた『9プリンシプルズ』を同ラボの研究員との共著で刊行した。今回はこれに続く本で、AI、仮想通貨、ブロックチェーンというこれからを左右するテクノロジーの本質を考察しながら、日本人はどう変わるべきかにまで言及した内容だ。

伊藤氏は、テクノロジーは現代社会の基盤であり、「これまで『教養』と呼ばれてきたレベルで、テクノロジーについて本質的な理解が必要となった」と話し始める。この前提に立ってテクノロジーによって大きな変化が起き始めている経済の未来を展望する。

労働・国家・資本主義はどうなる?

AIによって労働の未来はどうなっていくのか、仮想通貨で「国家」はどうなるか、ブロックチェーンで資本主義はどのような変化にさらされるのか――。この3つの視点からの考察が前半で繰り広げられる。続く中盤では社会の未来を、機械による人間拡張や自動運転の倫理、アンスクーリング(非学校)教育などから考察、最後は日本人や日本はどう変わるべきか、日本人の可能性へも言及しながら、「従来の価値観をくつがえすようなムーブメントを起こすべきではないか」と呼びかけている。教育を取り上げた第5章のみ、自分の子供をアンスクーリングで育てている共著者が書いている。

手に取りやすい新書版の読者を意識してか、4年かけて書いた『9プリンシプルズ』に比べると、直接的にテクノロジーがもたらす未来を説明している分、かなりわかりやすく未来図が示される。

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