「理系のツッパリ」 ホストクラブで経営に目覚めるSmappa!Group会長の手塚マキ氏(上)

石川 普通のホストクラブとは全く異なるビジネスモデルですよね。一般的に組織のリーダーは拡大したい人と、革新したい人に分かれると思います。拡大したい人はどこから考え始めるかというと、新しいこと(new)、人気のあるもの(popular)を取り入れようとする。一方、革新したい人はまず原点(origin)に戻る。そうでないと、本当に新しいもの(original)は作れないからです。手塚さんは革新する方を選んだわけですね。この「歌舞伎町ブックセンター」という書店を開いたのもその一環ですか。

歌舞伎町ブックセンターは約400冊の「愛」をテーマにした本を置く

手塚 そうですね。まずはお店の若い連中に本を読ませたいと思ったのがきっかけです。歌舞伎町の内と外とを出入りできるような人間になってほしい。そのためには、外で働く人たちの気持ちや考え方、苦労などがわかることが大切ではないかと思ったのです。

もう一つの理由は、この歌舞伎町という町でいろんな悩みを抱えて働く人たちにとって、1冊の本が何かのきっかけやヒントになればいいなという思いです。日本近代文学館(東京都目黒区)で文学カフェを運営する草彅洋平さんと知り合いになり、この話をしたところ、「愛をテーマにした書店にしてはどうか」と盛り上がり、本当に実現しました。本選びは、書店の経営者で、新しい書籍流通のあり方も提言している柳下恭平さんにお願いしました。

うかつに本を読んではいけない

石川 純文学から詩集、評論などさまざまなジャンルの本が並んでいますね。ホストの方はよく読んでいるんですか。

手塚 いえ、まだそんなには売れてません。長い目で考えています。僕自身、学校で勉強するのはイヤだったし、本を読み始めたのも仕事のためとか義務感からでした。読書が楽しいなと思えるようになったのはこの1~2年くらいです。石川さんは研究者だから、相当読むんでしょうね。

石川 そうでもないです。というか、うかつには本を読まないようにしています。研究者は考えることが商売ですから、毎日何かを考えている。考えに考えて、もう機が熟したなという時が来る。そこで初めて本を読むわけです。何も考えずに本を読むと、理解した気になるだけで脳に定着しないんですよ。

手塚 予防医学がご専門ですが、人文学にも興味がありますか。

石川 非常に興味があります。科学は100万人のサンプルがそろっていたとしても、それで正しい答えが出るとは限りません。一方、人文学はたとえ1人のサンプルでも物事の普遍的な真実を示していることがある。そこが大きな違いで、興味を引かれるところですね。

手塚マキ
1977年埼玉県生まれ。中央大学理工学部中退。19歳の時、新宿・歌舞伎町のホストクラブで働き始める。現在はホストクラブ、バー、美容サロンなどを経営するSmappa!Group会長。歌舞伎町商店街振興組合理事。日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
石川善樹
1981年広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がより良く生きるとは何か」をテーマに企業や大学と学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。

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