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浅漬けを究める 塩加減でうまさも食感もコントロール魅惑のソルトワールド(15)

浅漬けに合うのはどんな塩なのか

なお、白菜やキュウリ、ナスなどの水分の多い野菜は浸透圧が低く、薄めの塩分でも浸透脱水が起こりやすいですが、ニンジンなどは浸透圧が高めで、塩分濃度を少し濃い目にしないと、水分がしっかり出てきません。

そのため、これらの野菜を一緒くたにして仕込んでしまうと、たとえば塩分濃度をキュウリに合わせたら、「ニンジンは水分が抜けずにほとんどそのまま」になりますし、塩分濃度をニンジンに合わせたら、「キュウリはしょっぱくておいしくない」というようになってしまいます。真においしいミックス浅漬けを作るには、素材別に仕込んで、食べる直前に混ぜ合わせるのがお薦めです。

「え、浅漬けを素材別にバラバラに仕込むのなんて面倒臭いわ」という声が聞こえてきそうです。分かります、その気持ち。そんなあたなにおすすめな裏技が、「塩水漬け」。

塩をまぶしてもむよりもちょっと時間はかかりますが、逆にほうっておけるので、忙しい人には都合のいいやり方ともいえます。塩水漬けにする場合の塩分濃度は2%以上にしましょう。そうでないと浸透脱水が起きないので。

さて、塩の量について考えたあとは、「どのような塩がよいのか」についても考えてみましょう。この連載で何度もお伝えしていますが、塩も1つひとつ味が異なるので、浅漬けのようにシンプルな調理になればなるほど、その違いが最終的な味わいにも大きく影響します。

基本的には、すぐに食べたいものなので、野菜にすっと浸透していく結晶の細かいものがお薦めです。また、岩塩は溶けるのに少し時間がかかるため、急いでいる人は海水塩のほうがよいでしょう。お薦めの塩を3つ紹介しておきますので、参考にしてみてください。

わじまの海塩 うまみを引き出すのに効果がある

1つ目は、石川県輪島市で、塩士・中道肇氏の手による数多の研究の結果、編み出された独自の低温結晶法で作られる「わじまの海塩」。

多くの一流シェフをとりこにしているその魅力は、なんといっても絶妙なミネラルバランスにより、熟成や発酵を促進し、素材のうまみを存分に引き出してくれる点です。粒が少し大きいため、時間は多少かかるので、塩水にして漬けるのがお薦めです。

ウユニ塩湖の塩 キュウリとの相性が抜群

2つ目は、南米ボリビア、標高3700メートルを超える高地に位置するウユニ塩湖の塩。ここはあまりにも平らで、空が湖面に反射した姿は「天空の鏡」とも呼ばれ、観光地としても人気を博しています。

ここで自然に結晶した塩を切り出し、洗浄・粉砕・乾燥させた塩は、適度なしょっぱさに、はっきりとしたうまみと甘味があり、浅漬けに使うと野菜の甘味を上手に引き出してくれます。キュウリや白菜など、ちょっと水分量の多い野菜に合います。

「佐渡の深海塩(みしお) 藻塩」 海藻のエキスが入っていてうまみが強い

3つ目は、「佐渡の深海塩(みしお) 藻塩」。佐渡島沖3.6キロメートル、水深330メートルの海中から組み上げた海洋深層水を、ホンダワラと一緒に平釜で何段階かに分けて煮込み、塩の結晶の中にエキスを閉じ込めています。海藻のうまみ成分が入っているため、塩そのものにうまみがあり、野菜にうまみを付加してくれます。ニンジンなど、少し硬い野菜にぴったりです。

今回は、浅漬けと塩のおいしくて深い関係をご紹介しました。ぜひ、色々な塩を、色々な塩分濃度で試して、「マイ浅漬け」を究めてみてくださいね。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)


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