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五輪の警備員が足りない! 非常事態に14社が結束 セコムとALSOKなど 空前の1万4000人体制

2018/4/10 日本経済新聞 朝刊

東京五輪・パラリンピック警備のJV設立を発表するセコムの中山社長(左)と綜合警備保障の青山社長(3日、東京都千代田区)

セコムと綜合警備保障(ALSOK)は、東京五輪・パラリンピックに向けた共同事業体(JV)を設立した。業界上位2社が手を組んだのは人材の確保が狙いだ。五輪会場で必要とされる警備員は約1万4000人。不足することが目に見えているため、JVは全国の100社以上に参加を呼びかける。異例となる呉越同舟で五輪の安全を守れるのか。

「人材確保の難しさは日に日に増している」(セコムの中山泰男社長)。「両社が一体となり警備の輪を広げていきたい」(ALSOKの青山幸恭社長)。4月3日の記者会見の席上、普段は激しく競い合う2社のトップは、手を取りあって一時休戦を宣言した。東京五輪のオフィシャルパートナーでもある両社トップがJVの共同代表を務める。

JVはまず大手を中心に14社で立ち上げた。さらに全国の中堅以下の100社以上に参加を呼びかける。警備員を全国から集め、一体的に管理することで会場の警備を効率化する狙いだ。過去に例のない「オールジャパン体制」(ALSOKの青山社長)となる。

東京五輪では大会組織委員会が競技会場や選手村などの警備を民間に委託する。必要とされる1万4000人の警備員は、日本でこれまで開いたイベントのなかで「空前の規模」(セコムの中山社長)。酷暑も予想されるなか、数週間にわたる大会期間を通じて休みを交えながら配置しなければならない。

東京大会では競技ごとに会場が分散し、宮城県など遠隔地の会場もある。競技施設を集約したオリンピックパークを設けず、周囲をフェンスで覆うことができない公道を使ったロードレースも増える。既存の設備を活用しコストを抑える目的もあったが、結果的に警備員不足を深刻化させる一因となった。

既に警備員の人手不足は深刻だ。2月の有効求人倍率は全職業平均が1.51倍と高止まりしている。そのなかでも警備員などの「保安の職業」は8倍台と群を抜く。夜勤を伴うことが多く、危険と隣り合わせになる場合もある。「給与水準が低くキャリアアップが望めないというイメージが強く、介護や飲食などと並ぶ不人気職種」(求人会社)だ。

各種イベントではテロ対策などから民間の警備会社を活用する例が増えており、需要は高まる一方。五輪に向け建設業やサービス業などでも求人が増える見込みで、人手不足は改善しそうにない。

それだけに警備業界では省人化につながる技術革新も活発になっている。セコムは人工知能(AI)やドローンを活用したセキュリティシステムの開発を進めており、東京五輪での活用も想定している。ただ五輪のような大規模イベントではIT(情報技術)だけでは限界がある。両社は独占禁止法には抵触しないことを公正取引委員会に確認し、人材確保に動いた。

12年の英ロンドン五輪では民間警備員が数千人規模で不足し、英陸軍が補った。16年のリオ五輪でも警察が人員を手当てする事態を招いた。JVが機能し東京五輪が大きな混乱なく終われば、海外での両社のブランド力向上につながる可能性もある。

(高橋徹)

[日本経済新聞朝刊2018年4月4日付を再構成]

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