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日本企業は「子離れ」苦手? トップの質の違いが影響

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NIKKEI STYLE

ドイツの重電大手シーメンスが稼ぎ頭である医療機器の事業を上場させて話題になっています。シーメンスの利益の約3割を占める同事業が3月に独立して取引所に上場すると、4兆円前後の値段がつきました。屋台骨ともいえる事業を切り離すのは不思議に見えますが、どういう意味があるのでしょうか。

「独立する側とさせた側の双方にメリットがある」と解説するのは、デロイトトーマツコンサルティングの日置圭介執行役員です。独立した事業会社は経営判断が早くなり、より大きくなるためのM&A(合併・買収)もしやすくなります。一方、親会社は事業を売って得た資金を別の事業の投資に使えます。実際、シーメンスから独立した医療事業会社も、M&Aや他社との提携を模索していると言われています。

企業から事業部門が独立することは経済成長にとっても意味があります。一橋大の大山睦准教授が日本の工業統計調査を分析すると「独立した企業は新たな市場や製品の創出に関わる可能性が高い」との結果が出てきました。人間の親が子離れするのと同じく、双方に痛みが伴う場合もありますが、経済を活性化する効果が期待できます。

こうした子離れを日本企業は苦手としているようです。デロイトの2015年の調査では、シーメンスなど欧米の大企業は売上高の2%強の事業を過去20年で売却していました。日本では1%未満と小さく、違いが浮き彫りになっています。

なぜ違いが生まれるのでしょうか。電機業界のアナリストを長年務める東京理科大の若林秀樹教授は「経営者の質の違いが大きい」と話しています。欧米では会社の外から経営トップが就くケースが多く、全体の収益や将来性を見極めて不要な事業を切り離します。

一方、日本企業は特定の事業で成功を収めた生え抜き人材がトップになりがちです。若林氏は「ある事業しか知らないと全体の評価ができず、事業の分離を決断しにくい」と指摘しています。さらに欧米では大口株主が事業の切り離しを求めるケースが多いのに対し、「日本企業に対して声を上げる株主は少ない」(デロイトの日置氏)との見方もあります。

どうしたら前向きな子離れを促せるでしょうか。東京理科大の若林氏は「トップの決め方に工夫の余地がある」とみています。たとえば過去の電機業界のケースだと、業績でみた主流部門よりも非主流部門の出身者が社長に就いたほうが、しがらみなく事業の売却を進めてきたと若林氏は分析しています。大企業のトップ人事を見る際、必要な視点かもしれません。

若林秀樹・東京理科大教授「異分野との結合のため、人材の流動性も必要」

日本企業にとって事業の切り離しはどのような意味を持つでしょうか。企業の持続的成長を研究している東京理科大の若林秀樹教授に聞きました。

――日本企業で事業の切り離しが目立たないのはなぜでしょうか。

「一言で言えば事業の評価ができていないためだろう。自社の経営の重心がどこにあるかが見えていない。得意分野がわからなければ何を切り離せばよいかもわからない」

「事業評価ができない背景として、経営者の質の違いに注目する必要がある。経営者には象徴型やファンドマネジャーのような資本家型、特定のビジネスに成功した事業家型の3種類がいる。欧米の大企業に多い資本家型の経営者は、それぞれの事業を冷静に評価できる。日本企業の9割の経営者は事業家型だ。自分の事業に成功してもほかのことがわからないと、事業を評価し、切り離す判断はできない。自らの出身母体の事業は売ろうとしないし、ほかの事業を売ろうとすれば社内からえこひいきとみなされ、抵抗を受けるからだ」

――企業の外部に要因はありませんか。

「政府と地方自治体にも問題がある。中でも自治体が工場を誘致するために補助金や税制優遇をするのは、事業の切り離しを阻んでいる面がある。自治体が企業との契約の上で複数年にわたる補助をすると、企業は事業環境が変わったときに撤退しにくい。政治家を含めた地元の反対にあって撤退判断を先送りする企業も見受けられる」

――大企業からの独立が少ないと何が問題ですか。

「独立が少ないと、複数の企業が新しい製品や技術を生み出すための結合も少なくなる。今はIT(情報技術)と農業、人工知能(AI)と物流など、異なる分野が交わって価値を生む時代だ。事業が大企業の中にいるうちは異分野との結合は遅れてしまう」

――事業の切り離しが進むには何が必要でしょうか。

「人材の流動性を高めるのが大切だ。特定の会社でしか働けない人ではなく、どの組織にいても働けるスキルがある人が増えれば事業の切り出しも進めやすくなる。最近、一部の大企業がいったん企業を出た人の復帰を許すようになってきたのはいい傾向だ。企業の外も中も知る人材を育てることは、個別企業の成長にとっても、事業の独立を促すためにも効果がある」

(高橋元気)

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