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日本企業は「子離れ」苦手? トップの質の違いが影響

2018/4/10

シーメンスが稼ぎ頭の医療機器事業を独立上場したが…

 ドイツの重電大手シーメンスが稼ぎ頭である医療機器の事業を上場させて話題になっています。シーメンスの利益の約3割を占める同事業が3月に独立して取引所に上場すると、4兆円前後の値段がつきました。屋台骨ともいえる事業を切り離すのは不思議に見えますが、どういう意味があるのでしょうか。

 「独立する側とさせた側の双方にメリットがある」と解説するのは、デロイトトーマツコンサルティングの日置圭介執行役員です。独立した事業会社は経営判断が早くなり、より大きくなるためのM&A(合併・買収)もしやすくなります。一方、親会社は事業を売って得た資金を別の事業の投資に使えます。実際、シーメンスから独立した医療事業会社も、M&Aや他社との提携を模索していると言われています。

 企業から事業部門が独立することは経済成長にとっても意味があります。一橋大の大山睦准教授が日本の工業統計調査を分析すると「独立した企業は新たな市場や製品の創出に関わる可能性が高い」との結果が出てきました。人間の親が子離れするのと同じく、双方に痛みが伴う場合もありますが、経済を活性化する効果が期待できます。

 こうした子離れを日本企業は苦手としているようです。デロイトの2015年の調査では、シーメンスなど欧米の大企業は売上高の2%強の事業を過去20年で売却していました。日本では1%未満と小さく、違いが浮き彫りになっています。

 なぜ違いが生まれるのでしょうか。電機業界のアナリストを長年務める東京理科大の若林秀樹教授は「経営者の質の違いが大きい」と話しています。欧米では会社の外から経営トップが就くケースが多く、全体の収益や将来性を見極めて不要な事業を切り離します。

 一方、日本企業は特定の事業で成功を収めた生え抜き人材がトップになりがちです。若林氏は「ある事業しか知らないと全体の評価ができず、事業の分離を決断しにくい」と指摘しています。さらに欧米では大口株主が事業の切り離しを求めるケースが多いのに対し、「日本企業に対して声を上げる株主は少ない」(デロイトの日置氏)との見方もあります。

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