芸人・AMEMIYAさん 仕事には勉強、父に学ぶ
著名人が両親から学んだことや思い出などを語る「それでも親子」。今回はお笑いタレントのAMEMIYAさんだ。
――父親はどんな人?
「会社経営者ですが、家庭で仕事のことは話さないので、小さい頃は社長ということしか知りませんでした。勉強しろとか、口うるさく言われた記憶はありません。毎週のように遊びに連れていってくれましたが、仕事で疲れてレジャーシートの上でずっと寝ていました」
「なぜかアルバイトに関してだけは厳しく、新聞配達以外は許してもらえませんでした。内緒でスーパーマーケットでバイトをしていたら、母経由で、すぐに辞めるようバイト先に電話がかかってきたこともありました」
――芸能界に進んだことについての反応は。
「高校卒業後、同級生と吉本総合芸能学院(NSC)に入るのですが、短大にも合格していました。母には進学を勧められましたが、父はNSCを推したんです」
「お笑いコンビや音楽バンドをやったけどうまくいかず、父の会社で約7年、アルバイトをしました。週5日のフルタイム。お金を稼ぐ大変さを学び、父を尊敬するきっかけになりました」
「31歳で歌ネタ芸人になり『冷やし中華はじめました』で運良く、世に出ることができました。白いスーツにサングラス姿でギターを構えた写真を見て、父は兄に『こいつバカだなあ』と言ったそうですが、僕の歌は全部、動画サイトで見ているようです」
「勉強する大切さとか働くことの意味とか『もっと教えてくれれば良かったのに』と思うこともありますが、もしかしたら、自由に人生を歩ませるための戦略だったのかもしれません。父に色々言われていたら、芸能界に入ることもなかったと思いますし」
――今の仕事への影響は。
「父は仕事に関係する法律の知識が豊富で、仕事には勉強が大切なことを学びました。自分も(芸能人や企業をテーマにした)『ささげる歌』を作る時は、徹底的に対象を取材するようにしています。芸能人のファンや企業の人に納得してもらうためには必要なことだと思います」
「バイト時代に『商品を仕入れて売るより、自社商品に付加価値をつける方がいいのでは』と提案し、評価されました。『冷やし中華』の歌を基に、相手の喜ぶ要素を加えて『ささげる歌』を作る手法に通じるかもしれません」
「でも父の会社や両親向けに『ささげる歌』を歌うのは恥ずかしいですよ。会社は知っている人だらけですし。テレビの企画でもなければ歌えないですね」
――これからは親孝行を?
「昨年子供が生まれ、両親にとっては初孫。父は今まで見たこともない喜びようです。『おじいちゃん始めました』『おばあちゃん始めました』なので、まだまだ元気で長生きして、孫の成長を見守ってほしいですね」
[日本経済新聞夕刊2018年4月3日付]
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