エンタメ!

ビジュアル音楽堂

ハーピスト吉野直子が紡ぐフランス近代音楽

2018/4/7

 粋な雰囲気を醸し出していたのは吉野さんと吉田さんのハープとクラリネットによるデュオ。五重奏曲の合間に間奏曲風に入るアンドレ・メサジェ(1853~1929年)やガブリエル・ピエルネ(1863~1937年)の小品は、クラリネットの快活さとハープの優雅さが相まって、小じゃれた遊び心のフランス風を聴かせた。

フランスで発達し優れた演奏家を生んだハープ

 圧巻は7人全員による最後のモーリス・ラヴェル(1875~1937年)作曲「序奏とアレグロ」。舞台中央の吉野さんを6人がぐるりと取り巻いて、様々な色彩の楽器をハープの響きに絡ませる。「ハープは奏者1人で成り立つ点がピアノと似ている。でも室内楽ではハープが旋律を弾いてリードする時もあれば、他の楽器を伴奏風に支えることもある。その使い分けが室内楽の醍醐味」と吉野さんは説明する。「序奏とアレグロ」ではハープの旋律弾きやアルペジオ(分散和音)、グリッサンド(音の高低を隙間なく滑らかに鳴らす奏法)が他の楽器とのアンサンブルの中で様々に登場し、華やかに演奏会を締めくくった。

インタビューに答えるハープ奏者の吉野直子さん(3月8日、東京・銀座のヤマハホール)

 「ハープとフランスは関係が深い」と吉野さんは言う。「マリー・アントワネットはハープを弾いていた。モーツァルトはフランス貴族の親子のために『フルートとハープのための協奏曲』を作曲した。フランスの上流階級のサロンで演奏するのに雰囲気が合っていた」。ハープが現在の3段階ペダルのダブルアクション型になったのは1811年ごろという。ハープはフランスで発達し、優れた演奏家も生まれた。「フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルにはハープの名曲があり、演奏の機会も多い。フランスの作曲家が書きたい音楽の響きにハープは合っていた」と解説する。

 吉野さんは1981年の第1回ローマ国際ハープコンクールで第2位、85年の第9回イスラエル国際ハープコンクールで優勝と輝かしい受賞歴を持つ。音大には進まず、国際基督教大学で美術史を専攻し卒業した異色の演奏家だ。ソロ中心の音楽活動を続けてきたが、「自分にとって室内楽はすごく大事」と位置付ける。一方で「オーケストラに所属したことがない」ため、交響曲や管弦楽曲を演奏するのはまれだが、クラウディオ・アバド氏(1933~2014年)指揮のルツェルン祝祭管弦楽団や小澤征爾氏指揮のサイトウ・キネン・オーケストラなど著名な楽団に参加した実績がある。

エンタメ!新着記事

ALL CHANNEL