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『メリー・ポピンズ』 みなぎる躍動感、出色のダンス

2018/4/8

メリー・ポピンズはコーモリ傘で空を飛ぶ(主演・濱田めぐみ)

圧倒的なダンスシーンにノックアウトされた。3月下旬に開幕したミュージカル『メリー・ポピンズ』を見にいったら、群舞が抜群。舞台を目いっぱい盛り上げるダンスのアンサンブルがこれほどパワフルなのは、ちょっとないことだ。日本のミュージカルの進化を証明する日本初演だろう。

誰でも耳にしたこのある『チム・チム・チェリー』で始まるこのミュージカル、なんといってもジュリー・アンドリュース主演のディズニー映画(1964年)で有名。舞台版をプロデュースし、2004年に英国で初演したのも、やはりディズニーだった。子供の心が踊りとなって躍動し、舞台にファンタジーの花を咲かせるスタッフの技にうならされた。

魔法のつかえるスーパーナニー(子守)のメリー・ポピンズは傘をさして空からやってくる。裕福な銀行家の家に舞い降りて、いたずら盛りの姉弟を楽しくしつける。父親は忙しさのあまり家族をかえりみないが、事業に失敗しかけたところで子供の心を取りもどし、家族は団結する。原作はP・L・トラバースの児童文学だ。

言葉を売る店で新しい言葉を発明するシーン。躍動感十分だ。メリー・ポピンズは濱田めぐみ

日本でもおなじみ、英国ダンス界のスター、マシュー・ボーンがスティーブン・ミアと共同振り付けした2幕構成で、それぞれに見せ場がある。1幕、言葉を売るミセス・コリーの家でアルファベットの字を買って、架空の言葉をつくるシーン。できた言葉は「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」。舌をかみそうな言葉をリフレインし、絵本から抜け出たような人物たちがめくるめく動きをみせる。

2幕には、煙突掃除屋さんの大群とメリー・ポピンズ、子供たちがタップダンスで入り乱れるシーンがある。煙突掃除のバート(大貫勇輔、柿沢勇人のダブルキャスト)が個人技をみせ、舞台最上部を逆さまに歩く曲芸的シーンをへて、さらに「ステップ、ステップ」と連呼してクライマックスにいたる振り付けは迫力満点だ。英国演劇界の権威あるオリビエ賞で最優秀振付賞をとった総踊り。日本の歌舞伎や宝塚だと主に横に広がる絵巻になるが、このミュージカルでは奥行きを生かし、後ろから駆けてくる。立体感が出るのだ。

煙突掃除とメリー・ポピンズ(中央、平原綾香)の群舞「Step In Time」

■平原綾香、演技に長足の進歩

ダブルキャストで主演をつとめる濱田めぐみ、平原綾香も期待以上のできだった。濱田は劇団四季出身らしい明瞭な発声が美しく動きにキレがあり、この世ならぬツンツンした感じが面白い。きびきびした動作を示す擬態語「サッサッサ」の小気味良さ。一方の平原は昨年の『ビューティフル』で本格的に舞台デビューを果たしたばかりなのに、演技に長足の進歩をみせる。歌がうまいのは折り紙つきだが、自然に愛敬がにじみでるのがいい。傘をさしてのフライングは「お約束」ながら、これも実に自然な流れだった。

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