年金・老後

定年楽園への扉

「脱アンチエイジング」が老後のお金や暮らしを豊かに 経済コラムニスト 大江英樹

2018/4/19

写真はイメージ=123RF

世間では「アンチエイジング」(抗加齢)という言葉が流行しています。化粧品やサプリメント、健康食品など関連商品もたくさんあり、売れ行きもいいようです。

年を取っても元気な状態で居続けることを否定するわけではありませんが、私は抗加齢という考え方があまり好きではありません。加齢に抗(あらが)う、という発想に違和感を持つからです。

人間は誰でも老いるにつれ身体的な能力は低下していきます。若い頃より記憶力や判断力は衰えますし、体力もなくなってきます。それを嘆いても仕方ないし、無理に抗う必要はないと私は思うのです。むしろ加齢を受け入れることで年齢にふさわしい生き方ができるのではないでしょうか?

■強い欲望社会の表れなのか

例えば、現実には「無病息災」などはまれで、年を取れば誰もが体でどこか悪いところが出てくるのは普通のことです。従って、それを受け入れることが大切でしょう。私自身も持病がありますが、無理をしなければ日常の生活にはあまり影響はないので、淡々と病と付き合っています。

介護をテーマにした著作で知られる、医師で作家の久坂部羊氏は以前、ある雑誌のインタビューで「よい老後を求めるとキリのない地獄に陥る」とおっしゃっていました。つまり、老後の快適さにこだわると、金銭的にも精神的にも負担が無限大になる、ということでしょう。

私はこの感覚は正しいと思います。今の日本には過度に安心を求める空気が強まってきているような気がします。知らなければ心安らかに居られたものが、情報が増えたことによって、かえって不安が高まるという側面もあるのでしょう。

加齢を悪いことだと思い込んでしまうと、何とかそれを免れたいと考えてしまいます。年を重ねることによって得られる経験や豊かな知見、そしてそれらが生み出す人間の幅とか穏やかさという価値よりも、若さや美しさを追い求めることに欲望が向かってしまうのは残念なことです。

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