(3)人材育成面での課題

本質的に人材を重視していないために、自社の事業や職務でどういう道筋で人材を育成していくかの知見がたまらず、従業員に成長感を提供できません。人は「この会社でこれ以上働いても成長できない」と思い始めると、退職を検討する状態が継続化しやすく、いったん結婚・出産などのライフイベントが起こると、いとも簡単に会社を離れていきます。

(4)事業戦略が不明瞭

事業戦略が不明確だったり、抽象的だったりする会社のケース。また、戦略そのものが共有されていないというようなケースです。基幹戦略そのものが存在せず、無数の戦術が部分最適で走っているだけという会社にありがちです。結果的に市場内での影響力が上がらず、「今後の勝ち筋が見えない→だから将来が不安」というネガティブ志向が加速します。

(5)コミュニケーション不全、相互不信

組織秩序が機能せず、コミュニケーションがうまくとれない企業は離職が多くなります。部署間で利害が異なり対立するケースや、幹部層の権力闘争で派閥が形成されているケース、派閥どころか全員がバラバラに孤立し組織といえない状態など、社内の空気は冷え切ってしまい、風土にいたたまれなくなった人から離職していきます。

(6)給与・待遇の不整備

同業他社と比較して給与が低すぎるというケースが典型例です。正当な労働対価としての報酬が支払われなければ、あっという間に人は離れてしまいます。その人の仕事に見合った報酬は、会社の存続と発展のための最も重要なエンジンです。

(7)人事評価システムの機能不全

10年以上も人事制度の骨格が変化していない会社は、評価制度の機能不全に陥っている疑いがあります。経営目標の実現に向けて、人それぞれのミッションが明確に設定されていて、結果や成果が数値的に公正に評価される仕組みがあるかないかによって、当たり前ですが働きがいは大きく変化します。

(8)ミッションが不明確、または拡散している

人事評価制度と表裏一体ですが、仕事内容や責任の範囲が不明瞭だったり、当初と話が違ったりすると、人はやる気を失ってしまいます。特に、中途採用などで「求人広告やエージェントから聞いていた仕事内容と違う。なぜ募集時の条件と違うのか」という違和感は、消えない不信感となり、退職意欲を誘発します。

人に期待し、尊重する会社は「定着率の質」が高い

一方で、人材が長く定着し、かつ活躍を続けている企業もあります。ただ、人が辞めないだけではなく、生き生きと能力を発揮しているので「定着率の質」が高い会社と言ったほうがよいと思います。

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