グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

World Food Watch

アカデミー賞アニメで注目 メキシコのソウルフード

2018/4/5

東京・広尾のメキシコ料理店「サルシータ」の3種類のタマレス

 今年3月4日、米映画界最大の祭典、米アカデミー賞の受賞作品が発表された。長編アニメーション賞に加え、主題歌賞も受賞したのは、ディズニー/ピクサー映画「リメンバー・ミー」。メキシコのお盆「死者の日」の少年の冒険を描いた作品で、日本でもヒット中だ。

 映画の冒頭では少年の祖母が、お皿に山盛りにしたメキシコのソウルフード、タマレス(複数形。単数形ではタマル)を「たんとお食べ」と食卓に出す。トウモロコシの原産地メキシコでは、この穀物が主食。タマレスはトウモロコシの粉で作った生地を主にその皮で包んで蒸したメキシコ版ちまきだ。

「包んだもの」という意味で、11月初めの「死者の日」をはじめお祭りの時に特によく食べるもので、「タマレスの日」と呼ばれるお祭りまである。2月2日のキリスト教の祝日・聖燭祭(せいしょくさい)だ。

 メキシコ料理というと、日本ではトウモロコシの生地を揚げたタコシェルにサルサ(メキシコのソースの一種)やひき肉、溶けるチーズなどを盛ったタコスや、小麦粉を使った薄焼きパン、トルティーヤで具材を包んだブリトーを思い浮かべる人が多いと思うが、これらはメキシコ料理ではなくテクスメクスと呼ばれるメキシコ風米国料理で本場にはない。

 実は、メキシコは2010年にその伝統料理がフランス料理や地中海料理と共に、料理としては初めて世界無形文化遺産に登録されたほどの国。トウモロコシのほか、トウガラシ、インゲンマメ、アボカド、カボチャ、カカオなど今では世界中で人気が高い食材の原産国で、マヤやアステカをはじめとする高度な文明が栄えてきた。

 今なお古代からの料理が受け継がれていて、その一つがタマレスなのだ。なんと、紀元前5000~8000年よりその原型があったと言われる料理である。

 メキシコの主食の基本となる食材は、乾燥させた甘味の少ない白いトウモロコシを石灰水でゆでてから粉状にしたものから作るマサという生地。メキシコのトルティーヤはテクスメクスとは異なりマサを薄く円形に伸ばしたパンだが、タマレスはこれをラード(豚脂)などと練り合わせて作る。

 かつては、狩人や旅人などが持ち運ぶ携帯食として重宝されたらしい。なお、タマレスにラードを使うのは16世紀にこの地を植民地化したスペインの影響。家畜として豚をメキシコにもたらしたからだ。

グルメクラブ新着記事

ALL CHANNEL