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九州 味めぐり

栄華の名残 ふぐ手軽に 三宜楼茶寮

日本経済新聞西部夕刊

2018/4/5

 かつて国際貿易港として栄えた北九州市の門司港地区。古い建物が並ぶ「門司港レトロ」の中でも、ひときわ異彩を放つのが1931年(昭和6年)建築の元高級料亭「三宜楼」だ。木造三階建ての威容を誇る。

 出光興産を興した出光佐三や、門司鉄道局で勤務していた元首相、佐藤栄作らが通ったとされ、高浜虚子が俳句を詠んだという和室も残る。意匠を凝らした内装が、栄華の名残をとどめている。

 

イラスト・広野司

取り壊しの計画を知った地元有志が募金と署名を集め、土地・建物を取得して市に寄贈。内部の5部屋を、山口県下関市に本店を置く老舗ふぐ料理店「春帆楼(しゅんぱんろう)」が2015年11月から「三宜楼茶寮」として運営している。

 ふぐ(関門地域では「ふく」と呼ぶ)を中心とする会席・コース料理を通年で提供する。橙(だいだい)の香り豊かなポン酢で食べる薄造りは歯応えが心地よい。春帆楼名物の「鯛(たい)わた」も程よい塩気の珍味だ。

 「建物に一目ぼれして出店した」という春帆楼が掲げるのが地域への貢献。女将の緒方亜矢姫さんは「ふくは高価なイメージがあるが、地元の方に手軽に味わってほしい」と語る。食べ応え十分の「ふく会席」は税込み5400円からだ。要望に応じ建物内も案内する。観光客や訪日客が多いが、近くの門司区役所職員らも歓送迎会などで使う。昼・夜とも予約が必要。

(雨宮義敬)

 〈さんきろうさりょう〉北九州市門司区清滝3の6の8 電話093・321・2651

「九州 味めぐり」では食べ歩きが大好きな地元在住のライターや日経記者が見つけた九州・沖縄のとっておきの味を紹介します。

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