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年金開始、70歳超も選択可能に 増額率をさらに上積み 国が検討、早ければ20年度から

2018/4/3

写真はイメージ=PIXTA

年金を受け取り始める年齢の幅が広がり、70歳を超えてからも選べるようになると聞きました。受給開始年齢を遅らせるとどんな効果がありますか。

◇  ◇  ◇

国は2月に新たな「高齢社会対策大綱」を決めた。その中で公的年金制度については「70歳以降の受給開始を選択可能とするなどの制度の改善を検討する」とした。

現行では年金の受給開始は原則65歳だが、希望すれば60~70歳の範囲で選ぶことができる。65歳よりも早く受け取るのを「繰り上げ受給」、遅く受け取るのを「繰り下げ受給」と呼び、繰り上げれば年金額は減り、繰り下げれば増える。これを70歳超にも広げて繰り下げられるようにする。

繰り下げの年齢を引き上げる議論は2014年からあった。「高齢者の就労を後押しする狙い」とニッセイ基礎研究所の中嶋邦夫主任研究員は説明する。

60~64歳では7割以上(男性)が働いているが、国は経済活力を維持するためにさらに上の年代の就労も増やしたい考え。70歳以降も働いて年金受給を遅らせ、リタイア後に多めの年金額を受け取るという選択肢を示すことになる。

老齢基礎年金で今の仕組みが実施されたのは2001年度から。1カ月遅らせるごとに年金の受取額は0.7%ずつ増え(繰り上げは同0.5%ずつ減額)、最も遅い70歳なら本来の額より42%増える。65歳から受け取る老齢厚生年金も同様に繰り下げができる。

新たな制度は70歳超まで繰り下げた場合の増額率を0.7%より積み増す方針。現在の率でも仮に75歳まで繰り下げすれば年金額は84%増えるが、新制度だとさらに増える。

「先行き目減りが見込まれる年金額の確保に役立つ」とみずほ総合研究所の堀江奈保子上席主任研究員。一定の年齢を超えて長生きすれば年金の受取総額を増やせるため、長生きリスクの対策にもなる。

しかし、繰り下げをする人は今のところ受給者の1%程度にすぎない。65歳以降も安定した収入や資産がないと選択しづらいのに加え、「年金制度に対する不信感から、もらえるものは早くもらいたいと考える人も多い」(社会保険労務士の井戸美枝氏)からだ。

変化の兆しも見える。国民年金の新規裁定者(新たに受給権を得た人)では繰り下げが12年度の1.2%から16年度は2.7%に増えた。フィデリティ退職・投資教育研究所による17年9月の調査では、50~69歳の現役世代(対象は約6300人)の13.6%が「繰り下げ受給をしている、またはする予定」と答えた。

繰り下げの新制度が導入されるのは20年度以降の見通しだ。併せて雇用の受け皿づくりや高齢者の意識改革、公的年金の信頼回復も進める必要があるだろう。

[日本経済新聞朝刊2018年3月31日付]

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