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黒田日銀、2期目の試練 誤算の円高「出口」急げず 多いリスク、妙策乏しく

2018/4/8

日銀の黒田総裁は当面、長短金利を低位安定させる現行政策を粘り強く続ける構え(3月9日、日銀本店)

 黒田東彦日銀総裁が4月9日に再任され、黒田日銀の2期目が始まる。1期目と異なり、円高・株安という市場混乱のもとでのスタートになりそうだ。緩和策を終える出口政策の早期着手は難しく、当面、長短金利を低位安定させる現行政策を粘り強く続ける構えだ。仮にマーケットの混乱がさらに深刻化した場合、取り得る追加策は限られ、難しい対応を迫られそうだ。

 円相場が振り出しに戻りかねない――。一時1ドル=104円台に突入した最近の円高は、日銀にとってそんな意味を持つ。

 日銀が現行政策(長短金利操作付き量的・質的緩和)の導入を決めたのは2016年9月21日。その前日の東京市場の円相場は1ドル=102円程度だった。この水準に逆戻りする恐れも出てきた(グラフA)。

 現行政策では、長期金利(10年物国債利回り)をゼロ%程度、短期金利(日銀当座預金の一部金利)をマイナス0.1%に誘導する。金利の低水準への誘導には、円売りが進みやすい環境を整え、株高による心理好転などで物価に上げ圧力をかける狙いもあった。

■米国はドル安容認

 米景気回復を背景に米連邦準備理事会(FRB)が利上げを進める一方、日銀が金利を低く抑えれば日米の金利差は拡大。ドル買い・円売り圧力がかかるという理屈だ。狙い通り、16年12月~17年1月に円は118円台後半まで下落した。

 だが、円安はそこまで。米側の利上げは着実に進んでいるのに、円売りにブレーキがかるようになった。原因は単純でないが、「安全通貨」と目される円が北朝鮮情勢の緊張で買われやすくなったこともあった。

 それでも107円台が円の上限として意識されてきたのだが、18年2月、この線を突破した。米トランプ政権が秋の中間選挙での敗北を避けるため、保護主義的な姿勢を強めたためだ。鉄鋼・アルミニウムの輸入制限を発動。600億ドル(約6兆3千億円)もの中国製品に高関税を課す対中制裁も決めた。

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