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買い物すれば自然とたまる おつり投資が効果的なワケ

2018/4/7

写真はイメージ=PIXTA

買い物をするたびに、その「おつり」を自動的に貯金や投資に回すことができるスマートフォン(スマホ)のアプリが次々と登場しています。つい浪費しがちな人でも無意識にお金を増やす習慣が身につくとされます。サービス誕生の背景を探りつつ、どれほど効果があるのかを考えてみましょう。

■16年ごろから新興企業が始める

おつり貯金・投資サービスは2016年ごろから新興企業が始めました。現在、おつり貯金はネストエッグ(東京・千代田)やマネーフォワードが運営し、おつり投資はトラノテック(同・港)やウェルスナビ(同・渋谷)が提供しています。

基本的な仕組みはほぼ共通です。登録したクレジットカードなどを使って買い物をすると、おつりに相当する端数を計算。連携する銀行の預金口座に振り替えたり、投資信託の購入に振り向けたりします。

貯金や投資に回す端数は、事前に設定した金額に基づき計算されます(図)。例えば「1000円」を選び、220円の買い物をすると、780円がおつり相当額になります。

「100円」を選んで220円の買い物をした場合は、100円の倍数で支払額よりは大きい額が基準になります。この例だと300円を基準とし、差額の80円がおつり相当額になります。

■貯金専用口座に移すことも可能

おつり貯金の場合、普通預金口座にあるお金を、同じ銀行内の別の貯金専用口座に移すこともできます。いったん普通預金口座に戻さない限りお金を引き出せないようにする例もあり、無駄遣いを防げます。投資サービスの場合はおつりを1カ月分まとめ、金融商品の買い付けに回す場合が多いようです。

買い物のおつりに着目した金融サービスはもともとは2010年前後に米国で始まったとされます。海外のフィンテック事情に詳しいインフキュリオン(同・千代田)代表の丸山弘毅さんは「08年のリーマン危機後、個人の貯蓄性向が高まった時期に新型の貯金サービスとして注目され、その後、投資分野にも広がっていった」と話します。おつり計算の方法は日本とほぼ同じだそうです。

■行動経済学の考え方に基づいた商品設計

買い物のおつりを計算して貯金や投資に回すという手の込んだ仕組みをわざわざ作ったのはなぜでしょうか。丸山さんは「心理学を応用した行動経済学の考え方に基づいて商品設計がされている」といいます。

人間はいま置かれた状況を変えたくないという現状維持バイアスの傾向があるとされます。お金をためることがいかに大事であるか分かっていても、浪費癖のある人にとって倹約、貯蓄するのは容易なことではありません。

その点、おつり貯金・投資なら一度設定しておけば、あとは買い物をするだけで貯蓄が続きます。自分で毎月意識して貯金や投資をしようとすれば、その分、自由に使えるお金が減ってしまうと感じる人もいますが、そうした抵抗感も薄れるでしょう。

米国ではこうした観点からも一定の有用性を認められ普及したおつり関連サービス。自分は浪費しがちと感じている人は、利用を考える価値がありそうです。

[日本経済新聞朝刊2018年3月31日付]

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