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男性差別は存在するのか 女性運動家が撮った現実

2018/4/5

例えば、ある男性は自分の妻からDVを受けていた。しかし我が子を置いて逃げることはできず、男性権利運動家である友人が彼のためにシェルターを探した。ところが驚くべきことに、電話をかけたすべてのシェルターが「我々は、男性のDV被害者は助けない」と言ったのだ。憲法が保障する男女平等の下、税金で運営されている公的なDV被害シェルターで、なぜこのようなことが起きるのだろうか。

米国のDV被害者の4人に1人は男性である。そして全米で公的に運営されるDV被害シェルターは女性用が2000カ所あるのに対して男性用シェルターは1カ所しかない(これも近年、男性DV被害者が自主的に動いて何とか実現した貧弱な施設だ)。映画の中で監督のジェイは問う。「自殺者の70%以上が男性だ。ではそれを理由にして国が自殺防止の援助対象を男性だけに限ったら、それは性差別と呼ばれないのだろうか」

リプロダクションや親権に関する男性差別の実態を取り上げたシーンは相当にショッキングだ。性被害を受けても警察に信じてもらえなかった男性。息子の健康に気を配り、熱心に育児をしていたにもかかわらず、家庭裁判所が息子の親権を「女性である」という理由で妻に渡し、離婚後ほとんど息子と会えなくなってしまった男性。男女平等とは何なのだろうか。女性差別をなくすときだけに男女平等をうたい、男性差別に対しては無視するのだろうか。男性活動家のフレッド・ヘイワードたちはこう言っている。「これらが起こり、放置されるのは、社会が男性を人間(human being)として見ていないからさ」

男性差別の実態は様々だ。DVや性被害、親権における不利以外にも、教育の男女格差、就労中の死亡・負傷率の男女差、兵役、自殺率、平均寿命、ホームレスにおける男女差など。

多くの男性は、差別を訴えても社会的には無視されてきた。ひどい場合は攻撃すらされた。この映画では、声を上げた男性がどのような暴力や妨害、脅しに遭ってきたかを見ることができる。映画自体も、16年にオーストラリアでの公開が「一部の」フェミニストの抗議で一時的に中止になり、報道でも取り上げられた。

この映画が18年5月から日本で初めて公開される。この機会に考えてみてほしい。「この世は男が常に社会的加害者。女性差別はあっても男性差別はない」という既存のジェンダーの主張を信じるならブルーピルを。男性の人権に関心がある人、女性差別と共に男性差別もなくさなければ男女平等ではないと思う人、そして男性差別はあるのではないかと少しでも考えたことがある人はレッドピルを。あなたはどちらだろうか。

「The Red Pill」上映予定(入場無料)
第1回  2018年5月5日(土)午後1時30分~ 立川アイムホール(東京都立川市、JR立川駅北口 徒歩7分)
第2回 2018年6月17日(日)午後1時30分~ 稲盛記念会館(京都市左京区、京都市営地下鉄烏丸線 北山駅 徒歩5分)
第3回 2018年7月21日(土)午後1時30分~ 全労連会館ホール(東京都文京区、JR御茶ノ水駅 御茶ノ水橋口 徒歩8分)
久米泰介
翻訳家、男性問題研究者。1986年、愛知県生まれ。米ウィスコンシン大学スタウト校卒(家族学修士)。訳書に『男性権力の神話』(作品社)、『広がるミサンドリー:ポピュラーカルチャー、メディアにおける男性差別』(彩流社)『ファーザー・アンド・チャイルド・リユニオン ― 共同親権と司法の男性差別』(社会評論社)。

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