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男性差別は存在するのか 女性運動家が撮った現実

2018/4/5

Courtesy of Jaye Bird Productions

フェミニストの女性監督が男性差別の現実を撮ったドキュメンタリー映画『The Red Pill』(2016年、米国)が近く日本でも公開されます。男性差別は存在するのか、その実態は? 男性差別の研究者、久米泰介さんが解説します。

◇  ◇  ◇

これまで「男性差別」や「男性の権利」は社会的、学術的にほとんど相手にされてこなかった。世界のあらゆる社会は、男性が権力者で女性が被害者である「パトリアキー」の下に成り立っている、という前提があったのだ。

パトリアキーは日本語で「家父長制」と訳されたりするが、それだと「家制度」と関係あるようなイメージになってしまうので「男社会」と訳されることもある。「男が権力と利益を得て、女性が搾取される社会システム」のことだ。「政治家に男が多いのは、パトリアキーだからだ」というように使われる。

しかしこの前提に疑問を投げかける人々もいる。それがマスキュリスト(男性差別をなくして男女平等を目指す男性運動家)だ。パトリアキーは科学的データや実証に基づく客観的事実ではなく、あくまで仮説、思想だとする。もともとフェミニズム(女性の権利運動)は男性差別の是正に対しては関心がなく、学問や社会運動において男性差別を是正する動きもほとんどなかった。

その中でようやく、男性差別や男性の人権を正面から取り上げたドキュメンタリー映画が登場した。キャシー・ジェイ監督の『The Red Pill』である。タイトルのレッド・ピル(赤い薬)とは、映画『マトリックス』の有名なシーンから来ている。

『マトリックス』の序盤で、主人公のネオはサングラスをかけた男に「青い薬を飲むか、赤い薬を飲むか」の選択を迫られる。青い薬を飲めば、日常の(実は仮想現実の)世界に戻れる。赤い薬を飲めば、つらいけれども真実の世界を知ることができる。ネオは赤い薬を飲み、現実を知ることになる。

■「男性の被害者は助けない」

監督を務めただけでなく、自らインタビュアーとしても出演しているジェイはもともとフェミニストで、これまでフェミニズム系の映画を撮ってきた。男性権利運動を取材する前は「男性差別など存在するのか?」と疑っていた。少なくともジェイが教育を受けてきたフェミニズムの中では存在しないものだ。現実とデータに触れたとき、ジェイは相当葛藤している。

映画の中でインタビューされる女性(米国の女性学の準学術誌『ミズ』の編集者でありフェミニスト)は「男性のDV(家庭内暴力)被害者などいない。肉体的、精神的DVの被害者は全員女性だ」と言う。しかし映画では次々と男性差別の実態が取り上げられる。

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