それはやっちゃダメ!ストレス性便秘の意外なNG

日経ヘルス

2018/4/24

■Case5 「出ないときは強くいきんで出したほうがいいと思う」

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とにかく出したい一心で、猛烈な痛みに耐えてまで強くいきむのは厳禁。

「排泄時の強い痛みが迷走神経を刺激すると、心拍数や血圧を低下させる“迷走神経反射”という反応を起こす危険がある。失神したり、最悪の場合には死に至ることもある」と鳥居院長。実際、強くいきんだことで迷走神経反射が生じ、致死的不整脈によりトイレで死亡した人もいるという。

自力で出せない場合は早めに医療機関を受診すること。「場合によっては便秘以外の病気が隠れている可能性もある。一度きちんと診てもらうことが悪化を防ぐためにも重要だ」(鳥居院長)

痛みを我慢してまで強くいきむのは危険!

Case6 便秘解消のためには激しい運動をしたほうがいいと思う

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運動不足は便秘の原因になるが、息が上がるようなハードな筋トレや、全力疾走するような激しい運動は交感神経の働きを優位にする。「腸の動きが悪くなっているストレス性の便秘にとっては、さらに悪化させる原因になりうる」と鳥居院長。

もちろん、適度な運動は便秘解消のために有効だ。「お薦めは1日10~15分程度のウオーキング。景色などを楽しみながらマイペースで歩くことで自律神経のバランスが整い、腸の動きが改善しやすい」(鳥居院長)

Case7 「トイレが近いので、水分摂取は極力控えています」

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水分不足は便秘の大敵。「十分に水分を摂取していないと、便が硬く、かさが減って、腸内をスムーズに移動しにくくなる」(水上部長)。特に冬や、ダイエット中で食べる量を減らしているときは、水分摂取量が減りやすい。便秘を防ぐためにも、1日1~1.5リットルを目安に水分をとるようにしよう。

「水を飲むときは、一度にたくさん飲むのではなく、起床直後や歩いた後、入浴後や就寝前など、喉が渇いたタイミングでこまめに飲むようにすると、体への負担も少ない」(鳥居院長)。

なお、「アルコールやコーヒーなども適量であれば、ストレス解消にも役立ち、便秘改善効果も期待できる」(水上部長)。

便秘を防ぐには水分をちゃんと取って

Case8 便意を促すためにお尻洗浄器で刺激しています

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「お尻洗浄器による刺激には、便秘の赤ちゃんのお尻を綿棒などで刺激する“こより浣腸”と同じ効果がある。ただし、何度も洗浄しすぎると皮膚炎を起こすことも。あくまでも軽く刺激することが大切」(鳥居院長)

どうしても出ない場合は、坐薬や浣腸なども有効。「まずは出すことが第一。薬を適宜取り入れるといい」(鳥居院長)

■ストレス便秘の豆知識(1)
腸の動きを良くするには、入浴や深い呼吸でリラックスするといい
リラックスすると、副交感神経が優位になり、腸の動きも良くなる。「うまくリラックスできない場合、体がほぐれることで心もゆったりした状態になる。夜、ゆっくり入浴するのも有効」(天野医師)。「腹式呼吸も自律神経のバランスを整える効果が高い」(鳥居院長)
■ストレス便秘の豆知識(2)
幸せホルモンとして知られるセロトニンがストレス便秘の大敵?!
「ストレスを感じると、腸管では大量にセロトニンが分泌される。このセロトニンは、腸の動きを過剰にし、痛みやけいれんなどを引き起こす要因になる」と鳥居院長。脳では“幸せホルモン”として知られるセロトニンだが、腸で作られるものはまた働きが異なるようだ。
■ストレス便秘の豆知識(3)
5点押しマッサージで腸が動き出す!
便の流れに沿って、(1)右下腹部(そけい部の上)→(2)右上腹部(肋骨の下)→(3)左上腹部→(4)左下腹部→(5)おへその下の順に両手の親指の腹でプッシュ。「腸管をしっかり刺激するように、痛くない程度の圧で押すのがポイント」(鳥居院長)。起床後と就寝前に行うと効果的だ。
便の流れに沿って5カ所を押すと効果的
鳥居明院長
鳥居内科クリニック(東京都世田谷区)。25年にわたる大学病院勤務を経て、2006年に現クリニックを開院。豊富な経験をもとに、患者とじっくり向き合う丁寧な診療を行っている。
水上健部長
久里浜医療センター 内視鏡健診センター(神奈川県横須賀市)。大腸内視鏡検査・治療、過敏性腸症候群・便秘の診断と治療が専門。「慢性便秘症診療ガイドライン」作成委員。『女はつまる 男はくだる』(あさ出版)、『IBS(過敏性腸症候群)を治す本』(法研)など著書多数。
天野雄一医師
川崎幸クリニック心療内科(神奈川県川崎市)。日本心身医学会専門医・研修指導医。心身症全般の診断と治療が専門。患者一人ひとりに適したストレス・マネジメントの方法を考え、心身両面からのアプローチを行う。

(ライター やまきひろみ、イラスト 永野敬子)

[日経ヘルス 2018年4月号の記事を再構成]