5000個のメダル、都市鉱山から 東京五輪で初の試み携帯電話などリサイクル貴金属でつくる

日経ヴェリタス

自治体でも回収を受け付けていると聞いて東京都庁へ。この日もあいにくの雨だったが、1時間で2~3人が回収ボックスに立ち寄った。思ったより集まりは良さそうだ。神奈川県鎌倉市から来たという40代の主婦は「15年くらい前の古いケータイをどう捨てれば良いか困っていた」と笑う。

24時間稼働で銅をつくる

こうやって集まったケータイはどんなプロセスをへて、貴金属に変身するのか。実際に銀と銅の精錬工場へ向かうことにした。

東京から車で常磐自動車道を走ること2時間。記者は茨城県日立市にあるJX金属日立事業所に降り立った。銀や銅をつくる国内の一大拠点で、明治時代には銅山を抱えていたという歴史のある工場だ。

銀と銅を精錬するJX金属日立事業所(茨城県日立市)。銀や銅をつくる国内の一大拠点だ

「ご安全に!」。到着すると早速、作業着に着替えた。ヘルメットに防じんマスク、ゴーグルを装着して準備完了。まずは実際にリサイクル資源を見せてもらうことに。巨大な倉庫に足を踏み入れると、目に付いたのは破砕された基盤の山だ。回収したケータイや家電に使われていたもので、基盤が光を跳ね返し、キラキラと金色に輝く様子が美しい。端子や配線ケーブルがうずたかく積まれた山の高さは3メートルと、見上げるほどだ。

試しに5センチメートルぐらいの基盤を数十個分、両手に山盛りで持たせてもらった。ここから取り出せる銀などは効率が良ければ0.1グラムほどという。大変な量の資源が必要になるはず。

いよいよ精錬の現場へ。最初に入ったのが精銅工場だ。けたたましい金属音と熱気、そして頭の上では幅数十メートルものクレーンが勢いよく走り、迫力に圧倒された。「24時間稼働で銅を作っています」。JX金属の子会社パンパシフィック・カッパーの並木聡・精銅課係長が工場を案内してくれた。

銅をつくる仕組みはこうだ。まず回収したリサイクル資源と銅鉱石を原料に「アノード」と呼ばれる銅板をつくる。これを電解槽にひたし、電気分解することで純度の高い銅を取り出していく。この精錬作業に10日間ほどかかる。

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携帯電話100台から3グラムの金
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