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朝すぐ・昼さっと・夜しっかり 歯周病を防ぐ歯磨き術

日経Gooday

2018/4/15

 菌血症とは、歯周病菌などの悪い菌や、それらが産生する毒素が血管に入り込み、全身を巡っている状態をいう。

 「歯周病が進行すると、歯肉にできた傷口から、細菌がいとも簡単に血管へと入り込みます。歯周病菌は、血管内の内皮細胞を傷つけ、そこに定着して炎症を起こします。その結果、アテローム性動脈硬化[注2]になることがあり、血管の老化を早めます。さらに、血液中に入り込んだ歯周病菌の毒素により慢性炎症が起こり、全身疾患のもとになることも分かってきました」と佐藤さん。

 動脈硬化の人の血管を調べたら、血管組織から歯周病菌が見つかったという報告も。また、歯周病の人は糖尿病などの全身疾患が治りにくく、歯周病を治すとヘモグロビンA1c(糖尿病の検査数値の一つ)の数値が改善されたという報告もあるという。

 「高齢者の場合、歯周病菌をはじめとする口腔内細菌が気管支から肺に入れば、誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こすこともあります。このように全身の病気が、『口から始まっている』という事実は、まだあまり知られていません」(佐藤さん)。口腔内での悪玉菌の増殖が、いかに危険かをまず理解しよう。

■「プラークの放置」が菌血症の引き金に

 健康な歯でも、歯と歯肉の境目にはごくわずかな隙間(歯肉溝)があるが、歯磨きを怠っていると、歯肉溝付近にプラークや歯石がたまっていく。プラークは食べかすだと思っている人が多いが、実は歯周病菌などの細菌の塊だ。

 このプラークを放置すると、酸素を嫌う歯周病菌は歯肉溝の奥深くと入り込み、歯周組織を破壊しながらより深い溝の歯周ポケットを作り、炎症を広げていく。歯周ポケットは歯周病菌の格好のすみかとなるわけだ。そして、歯周病菌によって絶えず炎症が起きていると、歯肉の上皮細胞が壊れ潰瘍ができてしまう。潰瘍は、いわば傷口のようなもの。歯ぐきから出血があると、歯周病菌は、血液中の鉄分を栄養にして増殖し、毛細血管へと入り込み「菌血症」を引き起こす。

■歯周病予防の歯磨きのポイントが分かる2つの質問

 口は、栄養の入り口でもあるが、感染症や病気の入り口にもなり得る。では、どうすれば、歯周病菌をはじめとする悪玉菌の繁殖を阻止できるのか。たかが歯磨きと侮るなかれ。日ごろの正しい歯磨きが「盾」となる。磨き方のポイントを、佐藤さんに教えてもらった。まずは下記の2つの質問について考えていただきたい。

Q1 歯を磨いていたら歯ぐきから出血、でも、いつものことだから気にしなくていい?

Q2 毎食後に歯を磨いていれば、歯周病は進行しない?

[注2]アテローム性動脈硬化:動脈硬化の中でも比較的太い動脈に起こる硬化で、動脈の内膜に粥状の隆起(アテローム)ができ、次第に厚くなることで動脈の内腔が狭くなる。これが破れると血栓が作られ、動脈が完全に塞がってしまう

[注3]内毒素:細菌が持っている毒素の一種

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