2018/5/14

食事はバランスよく。「昔ながらの和食を薦める。特に魚には悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす脂肪酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)などが多く含まれる」(吉田院長)

誰かと会話をするといったコミュニケーションにも予防効果がある。「家族や友人との交流が多いほど、記憶力は活性化する。逆に、家に引きこもっていると、認知機能が低下しやすい」(伊東医師)

定年後は社会との関わりが減るため、40代からボランティアなどに参加して、会社以外のつながりを持つようにしたい。「1日1時間以上の知的活動が認知症リスクを下げる」(伊東医師)ため、パソコン操作や俳句などの趣味を持つのもいい。

脳震盪(のうしんとう)が認知症のリスクに

近年、サッカーのヘディングやアメフトのタックルによる認知症リスクが懸念されている。スポーツによる頭部への衝撃で脳震盪が繰り返されると、抑うつや攻撃性、認知機能の低下などがみられる慢性外傷性脳症を発症しやすくなる。そこから認知症に進みやすいことがわかってきたからだ。「頭部への衝撃が、神経細胞を破壊する『タウ』というたんぱく質の放出と蓄積を促すと考えられている」(伊東医師)

米国のナショナルフットボールリーグ(NFL)は、元フットボール選手が一般男性より認知症のリスクが高くなっているという調査結果を報告している。こうした事態を受けて、米国サッカー協会では、2015年から10歳以下のヘディングを禁止するなどの対応策をとった。日本サッカー協会からも脳震盪への対策が出されている。サッカーをする人は参考にしたい。次回は、認知症の治療法と介護の心得について紹介する。

吉田勝明さん
 横浜相原病院(神奈川県横浜市)院長。日本老年精神医学会専門医、日本精神神経学会精神科専門医。同院開設以来、認知症の高齢者の治療にあたる。著書に『「こころ」の名医が教える 認知症は接し方で100%変わる!』(IDP出版)。
伊東大介さん
 慶應義塾大学医学部神経内科(東京都新宿区)医師。慶應義塾大学病院メモリークリニックで認知症の診療にあたるとともに、治療薬の開発などにも携わる。著書に『認知症 専門医が教える最新事情』(講談社+α新書)。

(ライター 海老根祐子、構成:日経ヘルス 羽田光)

[日経ヘルス2018年5月号の記事を再構成]