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週末寝だめで病気リスク増? 社会的時差ボケ治すには

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

「社会的ジェットラグ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは、社会に強制される生活時間と自分の体内時計が合わないことで心身に不調が起こる現象を指す。放っておくとどうなるのか? 防ぐにはどうしたらいいのか? 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神生理研究部長の三島和夫さんに聞いた。

ジェットラグ(jet-lag)とは「時差ボケ」のこと。社会的ジェットラグとは、仕事や家事、学校などによって「体内時計にマッチしない社会時刻を強いられることによって心身に不調を生じる状態」と三島さんは説明する。

なぜこのような現象が起こるかといえば、平日と週末の休日で生活サイクルが変わることが大きな原因になっている。普段は会社に行くため朝7時に起きていても、休日は昼近くまで寝ているというビジネスパーソンは少なくないだろう。その結果、「7時に起きる」という体内時計のリズムが壊れ、再び7時に起きるのがつらくなる。まさに時差の大きな海外に行ったような状態になってしまうわけだ。

三島さんは「社会的ジェットラグの二大要因は『睡眠不足』と、体内時計同士の同調関係が崩れる『内的脱同調』」と話す。なぜ休日に遅くまで寝ているかといえば、平日の睡眠不足が続いているため。毎日たっぷり寝ていれば、週末にたくさん寝る必要はないだろう。休日の寝坊によって、とりあえず睡眠不足は解消するが、代わりにせっかく整っていた体内時計のリズムが壊れてしまう。そのため、日曜日の夜にはまだ眠くならないうちにベッドに入り、月曜の朝はもっと眠りたいのに無理に早起きしなければならなくなる。つまり、体内時計と異なる不自然な生活サイクルを強いられるわけだ。すると内的脱同調が生じる。

生体リズムを作り出す体内時計の基本となるのは時計遺伝子群だ。私たちの体の細胞の一つひとつに時計遺伝子が組み込まれており、普段の生活では親時計の支配下で、多数の子時計が日々の時刻調整をしながら体温、ホルモン分泌などいろいろな生体リズムを維持している。「内的脱同調」とは、親時計と多数の子時計の相互の時間関係(タイミング)がばらばらになることを意味する。体内で時刻のズレが生じることから時差ボケの原因となるのだ(内的脱同調が起こる原因に関する詳細は「時差ボケは忘れた頃にぶり返す」を参照)。

若い世代ほど時差ボケが大きくなりがち

具体的に時差ボケを計算するには、就寝から起床の中間の時刻である「睡眠中央値」を見る。例えば平日は0時に寝て6時に起きていれば、睡眠中央値は3時。休日は2時に寝て10時に起きていれば、睡眠中央値は6時。平日と休日では睡眠中央値が3時間ずれている。このとき、社会的ジェットラグが3時間ということになる。

「これまでの調査から、先進国では社会的ジェットラグが1時間以上の人が約70%、2時間以上の人が約30%いるといわれています」(三島さん)

2時間ということは、週末ごとに時差が2時間ある東南アジアに出かけているようなものだ。

社会的ジェットラグは幅広い世代で起こるが、特に若い世代ほど大きくなることが分かっている[注1]。「一般に20歳前後が最も夜型の体質になることに加え、若者はより多くの睡眠時間を必要とするため」と三島さん。年を取ると必要睡眠時間が短くなるほか、自然に朝型になるので早起きが苦にならないし、特にリタイヤ世代では出勤などの社会時刻の縛りから解放されて必要な睡眠時間も減るので時差ボケが小さくなるという。

肥満やメタボのリスクを高める

さて、社会的時差ボケは何が問題なのだろう? 週末ごとに海外に出かけているような状態は確かに肉体的に負担かもしれないが、つらいのは月曜日の朝くらい。睡眠不足をためていくより、週末ごとに解消しているほうが健康的な気もする。

「確かに2~3カ月ならいいでしょう。でも、その生活が10年20年と続くことで疾病のリスクが高くなっていく。社会的ジェットラグの一番の問題は、長く続けられてしまうことなんです」(三島さん)

時差ボケによって、インスリン抵抗性(インスリンに対する感受性が低下し、インスリンの作用が十分に発揮できない状態)が生じたり、LDLコレステロールの数値が上がったりしやすくなるといわれる。実際、約1000人を対象にした調査から、時差ボケが大きい人ほど肥満者の割合やメタボリックシンドロームの罹患率が高いことも確認されている[注2]。メンタルヘルスにも影響しており、ある研究では時差ボケが大きいほど抑うつ傾向が強かった[注3]

たっぷり眠っているという人でさえ…

人間は置かれた環境に慣れていく。寒い地方で暮らしていると徐々に寒さに慣れていくように、睡眠不足も長く続くと感じにくくなっていくという。

三島さんは興味深い実験を行った。「毎日たっぷり寝ている」と思っている若者(平均23.4歳)16人に、9日間にわたって暗室で毎日12時間横になってもらい、理想の睡眠時間を調べたのだ。

[注1]Curr Biol. 2012 May 22;22(10):939-43.

[注2]Int Obes(Lond). 2015 May;39(5):842-8.

[注3]Chronobiol Int. 2011 Nov;28(9):771-8.

 実験前、若者たちの平均睡眠時間は7時間22分だった。それが12時間の暗室生活を続けた結果、平均睡眠時間は8時間25分になった。つまり、たっぷり眠っていると思っている人たちでさえ、実は1日1時間ほど睡眠不足だったことになる。また、9日間しっかり眠ったことによって、正常値の範囲内だが空腹時血糖値が下がり、ストレスホルモンとして知られるコルチゾールの分泌が減っていた[注4]

社会的ジェットラグを防ぐには

NHKの国民生活時間調査によると、日本人の睡眠時間は戦後70年で約1時間短くなっている。「起きる時刻を変えられない以上、今よりも30分早く寝るようにしてほしい。そうすれば時差ボケも小さくなるはず」と三島さんはアドバイスする。

体内時計に大きく影響しているのは光だ。午前中に光を浴びると体内時計が早く(朝型にシフト)なり、夕方以降に光を浴びると逆に体内時計が遅く(夜型にシフト)なっていく。「放っておくと体内時計は徐々に夜型にずれていく。私たちの体は午前中に太陽光を浴びることで、体内時計を朝型に巻き戻しているんです」と三島さん。昼まで寝ていて午前中に光を浴びないと、体内時計は大きく夜型にずれていくことになる。

光の中でも、体内時計に影響するのはブルーライト(青色光)。最近普及しているLEDはブルーライトが多く含まれているため、影響が大きい。体内時計を夜型にしないように、夜間の照明はブルーライトが少ない暖色光や間接光を使ったほうがいい。

何といっても一番大切なのは、直接の原因となる週末の寝坊を抑えることだろう。

「休日もあまり遅くならないうちに起きて、いったん太陽の光を浴びることで体内時計を朝型にキープできます。とにかく、午前中に起きてしっかり光を浴びる。どうしても眠い場合、昼寝で解消するようにしましょう」(三島さん)

健康の基本は規則正しい生活。肥満や生活習慣病のリスクを高める社会的ジェットラグを防ぐため、平日と休日で生活サイクルを大きく変えないことを心がけよう。

[注4]Sci Rep. 2016 Oct 24;6:35812.

(ライター 伊藤和弘、作図 増田真一)

三島和夫さん
 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部長。1963年生まれ。秋田大学医学部卒業。同医学部精神科学講座助教授、米スタンフォード大学医学部睡眠研究センター客員准教授などを経て、2006年より現職。日本睡眠学会理事。日本時間生物学会理事。著書に『やってはいけない眠り方』(青春新書プレイブックス)、監修書に『疲れをとるなら帰りの電車で寝るのをやめなさい』(日経BP社)など。

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