グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

食の達人コラム

カナディアンウイスキー 日本の麹を使いこなして進化 世界5大ウイスキーの一角・ジャパニーズ(17)

2018/5/11

富山県高岡市にある高峰譲吉の胸像=PIXTA

一方、譲吉はウイスキー製造試験の過程でヒントをつかんでいたと思われる強い麹菌(強力なジアスターゼ生産菌)を発見する。これがベストセラー消化酵素タカジアスターゼの産生菌となる。

1889年、高峰譲吉が発表した論文が報道されたが、その新方式に注目していた会社があった。ハイラム・ウォーカーであった。1858年創業のカナディアンウイスキー最大のブランド、カナディアンクラブを生み出した会社である。

この会社は1911年にタカジアスターゼを使用した実験を始め、成功する。次の実験は1913年で、これも成功した。

実用化されたのは、最後の実験から26年後の1939年であったと推定している。ここに、奇跡とも言うべき技術革新が起きたのである。カナダのウイスキー業界は、麹菌による様々な影響を克服して、麹菌を使いこなしてきた。

麹菌導入の過程は、とりもなおさずカナディアンウイスキーを今日の味わいへと進化させてきた。日本の酒税法では、「ウイスキーは麦芽」「焼酎は麹」と規定されており、スコッチと同じくウイスキーには麹菌は使えない。一方、同じ麹菌を使うカナディアンウイスキーの品質研究は、焼酎業界にとっても参考になるのではないだろうか。

麹菌のもたらした影響の一例を紹介しよう。麹菌の出す液化・糖化酵素は、麦芽に比べ活性が強いため、糖化の進行が早い。もろみで栄養源が速やかに供給される訳で、糖化醪に添加する酵母の量は少なくていいという。糖化醪の糖組成も麦芽とは異なるので、酵母のつくり出す成分も変わり、カナディアンウイスキーの特徴を形成しているはずだ。

こうして麹菌の使用は多くの蒸溜所に普及し、様々な好影響をカナディアンウイスキーにもたらしたという。現在、麹菌を自家培養している蒸溜所は1カ所のみで、ほかは専門業者により培養、精製された酵素剤を購入して使用している。麹菌の種類も日本酒で使われている黄麹から、焼酎で一般的な黒麹に変っている。

グルメクラブ 新着記事

ALL CHANNEL