「ローン特約」が無効に? こんな不動産業者は要注意不動産コンサルタント 田中歩

写真はイメージ=PIXTA
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住まいを購入する際、たいていの人は銀行などの住宅ローンでお金を借りて購入します。住宅ローンの申し込みは、不動産の売買契約を締結した後に行うのが普通ですが、万一ローンの審査が通らなかった場合、売買契約を白紙にできる「ローン特約」があります。しかし、契約書の書き方次第ではこの特約が適用されず、思わぬトラブルに巻き込まれることがあるので注意が必要です。

買い主を「万一」から守る特約

不動産の売買契約を結んだ以上、買い主は契約で定められた期日までに売買代金の全額を支払う義務を負うことになります。期日までに支払えない場合、買い主側の契約違反となり、違約金や損害賠償金を売り主から請求されることになります。

こうした事態を避けるため、万一住宅ローンの審査が通らなかったときのための特約を付けておくのが一般的です。不動産売買の契約書には融資を申し込む金融機関名、借入額、融資の承認を取得する期日が明記され、その期日までに借入額の全額または一部が借りられない場合は無償で契約を白紙にできるよう規定しています。

この特約を「ローン特約」「融資特約」などと呼びます。まさに「万一」から買い主を守る特約です。

金融機関名や借入額はしっかり記載を

ところが、融資を申し込む金融機関名が契約書に書かれていなかったり、単に「金融機関」としか記載されていなかったりするケースが散見されるのです。気に入った住まいが見つかると購入を申し込みますが、その後1週間もしないうちに売買契約を結ぶことが多いため、融資を申し込む金融機関を決められないのも理由の一つのようです。しかし、これは実はとても危険なことなのです。

金融機関名が書かれていない、あるいは単に「金融機関」としか記載されていないということは、例えば買い主が希望する住宅ローンの審査が通らなかったとしても、「別の金融機関で審査が通るのであれば売買契約をしなければならない」と解釈することができるからです。

「金融機関」ですから銀行でなくてもよいと読めますし、通常より高い金利水準でも審査が通ってしまえば売買契約を無償で白紙にはできない、ということになりかねないわけです。どうしても契約を解除したければ、違約金や損害賠償金を支払わなければならなくなるかもしれません。

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